ハゲ親父のささやき

「親父は何でも知ってはいない」親父がよりよく生きていくためのブログ

ダース・ベイダー誕生の瞬間に立ち会える至福の時、「スター・ウォーズ/シスの復讐」

f:id:kazunokotan:20200320221257j:plain

こんにちは、カズノコです。

 

 

 

スター・ウォーズシスの復讐(2005)を映画館で観終わった後、かなり陰惨でダウナーな話にもかかわらず、何とも言えない不思議な高揚感に包まれた覚えがあります。

 

 

 

まず、巨大なサーガの円環が見事に閉じたことスター・ウォーズ」6作品でダース・ベイダーアナキン・スカイウォーカーの誕生から死までを描いた物語であったことは改めて感慨深いものがあります。

 

 

 

1977年に「スター・ウォーズ」が公開された時に、この映画の登場人物たちにそれぞれ暗い過去があり、この冒険活劇が実はダークで壮大な悲劇の一部分あることを、誰が予想しえたでしょうか?

 

 

 

旧三部作を観ただけでは、ダース・ベイダーが悪に身を投じた理由や悲哀や苦悩は理解できません。エピソード4「新たなる希望」では冷酷非情な悪の権化であり、エピソード5「帝国の逆襲」(1980)では実はヒーローの父であることが判明、エピソード6ジェダイの帰還」(1983)で家族と和解して死を迎えます。

 

 

 

新三部作では、エピソード1ファントム・メナス(1999)で、純真無垢で聡明なアナキン・スカイウォーカー少年の可能性が見出され、エピソード2クローンの攻撃(2002)では勇敢で男前な青年に成長していく過程をじっくりと見せてきました。

 

 

 

エピソード3シスの復讐ではその青年に危機が訪れます。妻となったパドメ・アミダラを失うことへの不安と恐怖が、パルパティーン最高議長=ダーク・シディアスの狡知によって歪み増幅され、少しずつズルズルとまさに暗黒の崖をすべり堕ちていきます。

 

 

 

ただこの堕落は、悩み多き一青年の悲劇にとどまりません。ジェダイ騎士団の抹殺、さらに銀河共和国が崩壊し銀河帝国へと変貌する悲劇的な展開はとどまるところがありません。

 

 

 

エピソード4「スター・ウォーズ/新たなる希望」へとつながる布石が随所で打たれていきます。なぜ、自由と正義の守護者であるジェダイの騎士がいなくなってしまったのか、なぜ、オビ=ワンやヨーダは辺境の惑星で隠遁生活を送らなければならなかったのか、なぜ、アナキンとパドメの子であるルークとレイアが別々に里子に出されたのか、数々の「なぜ」に答えを出してくれます。

 

 

 

そして何よりも、なぜ、アナキン・スカイウォーカーダース・ベイダーとなったのか…あの悪の権化のようにさえ思えたダース・ベイダーの誕生にやっとたどり着いたことは何より感慨深いものがあります。この瞬間のために新三部作が作られたと言っても過言ではないでしょう。

  

 

 

 

スター・ウォーズ」のオープニングクロールは、いつも話が呑み込めずに難儀するんですが…今回の「シスの復讐」はわかりやすかったですね…なにせ 冒頭から「戦争だ!」ですから。

 

 

 

分離主義勢力に誘拐された共和国のパルパティーン最高議長の救出に向かったオビ=ワンとアナキンはドゥークー伯爵と再び対決することになりますが、今回はアナキンの圧勝!ただあまりにもあっけなくドゥークー伯爵が「両腕切り落としのうえ斬首」という血も涙もない仕打ちで退場させてしまったのは納得がいかん!

 

 

 

この意外とドタバタしてスラップスティック風味のパルパティーンの救出劇といい、ドゥークー伯爵に代わるグリーバス将軍が戦利品のライトセーバーを扇風機のように振り回す姿といい、結構笑えて楽しめるシーンもあるんですが、このお茶目で陽気な展開もここまでが精一杯ですね…。

 

 

 

アナキン青年はますます陰鬱な顔つきになり、パルパティーンも自らの電撃ショックで眉間に深いしわが刻まれ、ダーク・シディアスとの使い分けももはや不可能になり、メイス・ウィンドウの悲惨すぎる最期、さらに、ジェダイ抹殺指令「オーダー66」の遂行によるジェダイ騎士団の殲滅と続きます。

 

 

 

そしてついに物語は灼熱の炎の惑星ムスタファーでのオビ=ワンとアナキンの師弟対決のクライマックスを迎えます。もうここはライトセーバーの対決というか、意地と意地のぶつかりあいですね。しかし、この戦いにもついに決着の時が訪れます。

 

 

 

オビ=ワンに両足と左腕を切り落とされ、燃える溶岩の近くで全身に大火傷を負うアナキン。屈辱と痛みにもだえ苦しみ、呪詛の言葉を吐き続けるアナキン。その姿を見てオビ=ワンが発する悲痛な叫び…「選ばれし者だった!シスを倒す者がシスになるなんて…弟と思っていた。愛していた!」は私たちの心にも突き刺さりますね…。

 

 

 

全身火だるまになり瀕死の重傷を負ったアナキンは、皇帝の手で運ばれ、殺風景な手術台に横たえられ、手術用ドロイドによる再生治療を受けます。そして、生命維持装置となる真黒なスーツ、そしてダース・ベイダーの象徴ともいえるマスクとヘルメットが装着されます。マスクを付けた後、あの印象的な「シューコー」という呼吸音が最初に流れる瞬間が素晴らしい!

 


f:id:kazunokotan:20200320221002j:plain

 

 

ダース・ベイダーとしてよみがえったアナキンは立てられた手術台からぎこちな一歩踏み出し、真っ先に皇帝に妻であるパドメの消息を尋ねます。皇帝の答えは無情にも「そなたの怒りが死を早めたようだ」との答えでした…。

 

 

 

すべてを失ったベイダーが叫ぶ「彼女は生きてる(She was alive)」は、ユニバーサル・スタジオの古典的なモンスター映画フランケンシュタイン(1931)でのセリフ「生きてる、生きてる!(It's alive! It's alive!)」からの引用でしょう。

 

 

  


f:id:kazunokotan:20200320221208j:plain

 

 

 

このダース・ベイダー誕生のシーン全体がモノトーンに近い色調の怪奇趣味で撮られており、怒りと悲しみによるフォースで破壊された手術室に響きわたるベイダーの悲痛な咆哮など、明らかに1930年代のユニバーサル・モンスター・ホラー映画へのオマージュとなっています。確かにダース・ベイダーというモンスターは皇帝によって誕生したとも言えますからね。

 

 

 

 

円環が閉じたことによって「スター・ウォーズ」は6作品で一本の長い映画、サブタイトルダース・ベイダーの悲劇の生涯」となりました。ベイダー卿銀河帝国の悪の権化どころか、悲しい過去を持った人間味あふれる悩める父親であったことがわかります。

 

 

 
f:id:kazunokotan:20200320223157p:plain

 

 

 

映画の最後の一連のシーンはエピソード4につながっていきます。ダース・ベイダーと皇帝は、建設が始まったばかりの巨大宇宙要塞「デス・スター」をあのグランド・モフ・ターキンと眺めています。 そしてアナキンとパドメの二人の子であるレイアはベイル・オガーナ夫妻に、ルークは惑星タトゥイーンのオーウェン夫妻に引き取られていきます。

  

 

 


f:id:kazunokotan:20200320221420j:plain

 

 

 

 タトゥイーンの地平線に落ちていく二重太陽の夕陽は「スター・ウォーズ」のセンチメンタリズムの象徴です。次の世代の冒険を期待させつつ哀愁に満ちたこのラストシーンに勝るものはないでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エピソード1「ファントム・メナス」からエピソード6「ジェダイの帰還」までの本編ディスク6枚と特典ディスク3枚の9枚組です。

 

 

 

 エピソード1「ファントム・メナス」からエピソード3「シスの復讐」までの新3部作=プリクエル・トリロジー、本編ディスクのみの3枚組です。 

 

 

 

 

「スター・ウォーズ/クローンの攻撃」はダークな雰囲気がたまらんフィルム・ノワールだ!

f:id:kazunokotan:20200318001931j:plain

こんにちは、カズノコです!

 

 

スター・ウォーズクローンの攻撃(2002)が公開されたとき、映画館で観てまず感じたのは、前作の「スター・ウォーズファントム・メナス」(1999)でも感じたましたが、つかみがとっつきにくいんですね…。

 

 

 

映画はいつもながらオープニングクロールが流れるんですが、年のせいか目が文字を追いかけても内容が頭に入ってこない…。飲み込めないまま映画が始まり、いきなり宇宙船が爆発したので何ごとかと思いましたよ…。

 

 

 

映画の中盤にさしかかりすっかり青年に成長したアナキン・スカイウォーカーパドメ・アミダラの二人が草原でゴロゴロと転がりイチャイチャしている姿を観ていると、あまりに時代錯誤的な若い二人ラクラしてこっちが赤面してしまったわ!

 

 


f:id:kazunokotan:20200318002653j:plain

 

 

 

ところが、この映画、ブルーレイでテレビで見直したら印象がかなり違う!一度観てあらかたストーリーが頭に入っているので、細かいところに「なるほど…」と感心したり、画面や音響のキレのよさにびっくりしたり…。

 

 

 

ジョージ・ルーカスは新たなデジタルシネマの推進に意欲的に取り組んで、この「クローンの攻撃」で長編映画では初めて完全デジタル撮影を行いました。そのおかげもあってか、映像はもちろん、音声もすこぶるいいんですよね!

 

 

 

クローンの攻撃」を改めて見直して気がついたのですが、思ったよりもミステリー仕立てになっています。先のようなほのぼのとしたシーンはむしろ少なく、映画はパドメの暗殺計画からスタートし、オビ=ワン・ケノービとアナキンのコンビが暗殺者と緊迫感あふれるチェイスを大都市惑星コルサントの夜のネオン街で繰り広げます。ファントム・メナス」よりぐっとダークさが増しています。

 

 

 

この映画での主役は、やはりオビ=ワンだと思いますよ。演ずるユアン・マクレガーも立派なひげをたくわえ 、やっとオビ=ワンらしく…。パイロットしては優秀であるものの「操縦は嫌い」とぼやいたり、弟子として指導しているアナキンに「いつかお前に殺されそうだ」と皮肉を飛ばしたり、直情型のアナキンとは異なった魅力があります。実際、この「クローンの攻撃」ではジェダイの騎士として戦闘能力に秀でているばかりでなく、人との交渉に長けた優秀なネゴシエーター(交渉人)としての一面も見せています。

 

 

 

中盤からはオビ=ワンがハードボイルドかフィルム・ノワールの探偵よろしく、陰謀の根源を探るために惑星カミーノへ単身旅立ち、真相究明に孤軍奮闘する描写にはゾクゾクしますね。賞金稼ぎのジャンゴ・フェットと、雨と波浪でずぶ濡れになり足元がツルツルと滑るなかでの戦いはなかなか見ごたえがあります。

 

 

 

ここで、ジャンゴが自分の宇宙船に乗り込んで逃げる時に、かなりわかりにくいんですが、降りてくるドアに頭をぶつけるシーンがあります。「ドアに頭をぶつける」といえば、「新たなる希望」でドアに頭をぶつけるストームトルーパーが有名ですが、ジャンゴの遺伝子を受け継いだストームトルーパーへのオマージュでしょうか…。

 

 

 

ジャンゴが逃げ込んだ惑星ジオノーシスで、新たなシス卿、ドゥークー伯爵が登場します。演じているのは、おおっ、クリストファー・リーではありませんか!

 


f:id:kazunokotan:20200318001717j:plain

 

 

 

クリストファー・リーと言えば、言わずと知れた「吸血鬼ドラキュラ」(1958)のドラキュラ伯爵が有名でしょう。映画の出演作品数は250本を越え、「世界で最も多くの映画に出演した俳優 」としてギネスブックにも認定されています。

 

 

 

 

リーのはまり役となったドラキュラ伯爵の映画を私はテレビでしか見てませんが、それはそれは恐ろしかったですね…。あの真っ赤に血走った目と長い牙の生えた口からしたたり落ちる血に染まったドラキュラの顔は、テレビの洋画劇場の来週の予告編で見ただけでもトラウマになりました…。

 

 

 

 

最近ではロード・オブ・ザ・リングシリーズやホビットシリーズのサルマン役やティム・バートン監督の作品に多く出演していますが、リチャード・レスター監督の「三銃士」(1973)のロシュフォール「007 黄金銃を持つ男スカラマンガが印象に強く残っています。気品のある悪役を演じさせたら並ぶ者はないでしょう。

 

 

 

 

イギリスのハマー・フィルムで怪奇映画の大スターとなったクリストファー・リーですが、この「吸血鬼ドラキュラ」でドラキュラ伯爵の宿敵、ヴァン・ヘルシングを演じたのが、ハマー・フィルムのもう一人の看板俳優、ピーター・カッシングです。

 

 

 

そうなんですよ…スター・ウォーズ/新たなる希望」(1977)で、モフ・ターキン総督を演じているピーター・カッシングです!ああ、ハマー・フィルムの二大巨頭が「スター・ウォーズ」シリーズで顔をそろえるとは何たる感慨でしょう…。

 

 

 

二人は無二の親友でもあり、22本の映画で共演しましたが、先の「吸血鬼ドラキュラ」を含め、リーがドラキュラを、カッシングがヴァン・ヘルシングを演じた共演作は3本しかないそうです…。でも、この強力無比のタッグは個人的には永久不滅の組合せだと思います。

 

 

 

さかのぼること1978年の夏、「スター・ウォーズ」を初めて観た時には、ターキン総督のカッコよさにしびれたものでした。銀河帝国軍の軍人として頂点を極め、デス・スターの司令官であるターキン総督は、あのダース・ベイダーさえも一目置いていました。

 

 

f:id:kazunokotan:20200318002122j:plain

 

 

 

 

 

ピーター・カッシング一見冷徹にも見えるクールで知的な風貌と演技は、オビ=ワンを演じたアレック・ギネスとともに、「スター・ウォーズ」の映画としての風格を確実に上げていたと思います。もっとも、アレック・ギネスの方は「スター・ウォーズ」に出演したことを後悔していたようですが…。

 

 

 

ドゥークー伯爵に話を戻すと、かつてジェダイの騎士でありながら、銀河共和国や騎士団に幻滅し、自らの意思で離脱した経緯があります。あくまで自分の理想を追い求めるためにダークサイドの力を得てシス卿となったことから、邪悪さを感じないんですよね…。

 

 

 

リー自身も軍人の父名門貴族の出の母を持ち、第二次世界大戦の従軍経験があります。190㎝を超える長身で、剣術や馬術にも長けていました。知性と気品と高い身体能力を備えていたリーに、信念に基づき自ら独立星系連合を率い銀河共和国に戦いを挑んでいくドゥークー伯爵はピッタリのキャスティングです。

 

 

 

リーはスター・ウォーズ・シリーズについて、「出演するのがものすごく楽しみだ」と、喜びを語っていたそうです。「クローンの攻撃」ではリーは80歳にならんとしていましたが、可能な限りのライトセーバーでの戦いのシーンは彼自身がこなしたそうです…。

 

 

 

ドゥークー伯爵とオビ=ワン、アナキンのライトセーバー対決、そしてついに出ました!…ジェダイ・マスターのヨーダライトセーバーの類まれなる使い手であることがドゥークー伯爵との対決によって判明します!そのまるで覚醒したかのような姿は、伝説となっていた最も見たかったヨーダの姿ではないでしょうか…。

 

 

 

もちろん、銀河共和国と独立星系連合の間で勃発したクローン大戦の描写もすさまじく、画面から一時も目が離せませんが、「クローンの攻撃」も傑作スター・ウォーズ/帝国の逆襲(1980)と同じように次作へ微かな不安を持たせながら「つづく」と終わってしまいます…。

 

 

 

三部作の中間作の宿命とはいえ…だからこそ、次へとつながる面白さがあります!

 

 

 

 

 

エピソード1「ファントム・メナス」からエピソード6「ジェダイの帰還」までの本編ディスク6枚と特典ディスク3枚の9枚組です。

 

 

 

 エピソード1「ファントム・メナス」からエピソード3「シスの復讐」までの新3部作=プリクエル・トリロジー、本編ディスクのみの3枚組です。 

壮大なサーガの幕開けにしては、らしくない設定に困惑…「スター・ウォーズ/ファントム・メナス」

f:id:kazunokotan:20200312235145j:plain

こんにちは、カズノコです!

 

 

 

スター・ウォーズジェダイの帰還」(1983)から16年ぶりに、時系列ではエピソード1となるスター・ウォーズファントム・メナス(1999)が公開された時の気持ちですが、「待たされた~!」という感じは思ったよりなく、世間のこの映画を取り巻く狂騒よりずっと冷めてましたね…。

 

 

 

自分の中では「スター・ウォーズ」は旧三部作(オリジナル・トリロジー)で終わっていた感じでしたからね…。まず、副題の「ファントム・メナス」ってなんやねん?日本語に訳すと「見えざる脅威」ってもっとわからん…。シリーズを通して考えるとなかなか含みのある意味深な言葉なのですが、シリーズの中でこの副題だけ英語の原題をそのままカタカナにしているのは芸がないなぁ…。

 

 

 

で、公開時に観た時の率直な感想は…こども向けにわかりやすいところとおとな向けのわからないところの落差ありすぎ!

  

 

 

アナキン・スカイウォーカーが物語の中心になることはわかってはいましたが、アナキンを演じるジェイク・ロイドが、撮影時の年齢が9歳ということもあり、あまりにも幼いんですね…。

 

 

 

何せナタリー・ポートマン演じるパドメ・アミダラと初めて会った時の第一声が「天使なの?」ですから…。ナタリー・ポートマンが実年齢ではジェイクより8歳年上で、この二人がキャッキャッとはしゃいでいる姿を見ていると、この先この二人が恋に落ちて結ばれるの?…とやや複雑な思いがしました。

 

 

 

アナキンは言動が幼いにもかかわらず、どこでそんな知識身につけたの?と思うくらいエンジニアとしてはめちゃくちゃ優秀なところもギャップあり。C-3POが廃物からアナキンの手で組み立てられたロボット(ドロイド)だったという事実はちょっとショックでしたね…。

 

 

 

R2-D2が、最初からいつもながらの仲間の絶体絶命の危機を救う大活躍をするのと比べると、C-3POの扱いはだいぶ落ちますよねメカむき出しで未完成ですし…。旧三部作のようにケンカしながらも実は相手のことを気にかけている絶妙な関係もまだありません。

 

 

 

この映画でC-3POに代わるコメディアン的な役回りを果たすのは、あの悪名高きジャー・ジャー・ピンクスなんでしょうが、映画史上もっとも不愉快なキャラクター1位」に選ばれたのもわからなくはない…。また、このジャー・ジャーがジョージ・ルーカスの最もお気に入りのキャラクターというのが涙を誘います…。

 

 

 

この新三部作ではILMのデジタル映像技術がふんだんに注ぎ込まれ、新しく登場したエイリアンやロボットのほとんどがCGで表現されています。アナキンの雇い主であるワトーやポッドレーサーのセブルバらはヒトがスーツを着て演じることができないようなデザインをあえて排除しているような気がします。

 

 

 

ジャー・ジャーはヒト型エイリアンでありながらフルCGで表現されているためか、本来はおかしみを感じる動きがわざとらしく、かえって親しみがわきにくい要因となっているのかもしれません…。あの耳障りな声もなんだかなぁ…。

 

 

 

手に汗握るポッドレースライトセーバーのチャンバラがこどもも喜ぶわかりやすさだとしたら、おとな向きに設定された映画の本筋のわかりにくいこと!

 

 

 

スター・ウォーズ」の映画のタイトルの後に、おなじみとなった宇宙の彼方にゆっくりと飛び去っていく黄色い文字で書かれた文章(オープニングクロール)では物語の直前のできごとを説明するんですが、実を言うと私はこれが大の苦手で、物語の背景をわかりやすくしようとしているんでしょうが、いつも頭にさっぱり入ってこないんですね…。

 

 

 

この「ファントム・メナス」で書かれていた文章の一部を抜き出すと辺境の星との交易での課税の是非で意見が割れたのだ。 貪欲な通商連合は恐るべき宇宙戦艦の包囲で事態解決を図り小さな惑星ナブーへの航路を封鎖してしまった… 」って、「交易」…「課税」…「通商連合」…これってホントに「スター・ウォーズ」の世界か!

 

 

 

エピソード1では銀河帝国はまだ存在せず、銀河共和国を形成している数千の恒星系の代表である銀河元老院も混乱を極めている…って、まさに共和制ローマが崩壊し、帝政ローマが誕生する過程をなぞらえてますよね。ジョージ・ルーカスは「スター・ウォーズ」新三部作では「政治の闇のダイナミズム」を描きたかったのかな…とも思えます。

 

 

 

ここでの主役はナブー選出の議員パルパティーンです。彼はこの「ファントム・メナス」では銀河元老院の最高議長の座に着きますが、彼こそが「見えざる脅威」そのものでしたね…。「ファントム・メナス」ではまだ脅威は表面には現れてはいません。新三部作はこのパルパティーン、つまり、ダース・シディアスがじわじわとのし上がっていく過程を描いた物語とも言えますね…。

 

 

 

映画の終盤、通商連合とナブー義勇軍の盛り上がりに欠ける戦いがダラダラ続いた後、いきなり目の覚めるような素晴らしいシーンが飛び込んできます!

 

 

 

そうです…ダース・シディアスの弟子であるダース・モールダブルブレードのライトセーバーを自在に操り、クワイ=ガンとオビ=ワンの二人のジェダイと戦うシーンです!

 

 

まず、容貌からし赤と黒の刺青に短い角が生えていて、誰がどう見てもこいつヤバイ…と思わせるところがよい!さらに、飛び抜けて高い身体能力!シス一人で二人のジェダイライトセーバーをブンブンいわせて互角に戦うシーンはこの映画一番の見どころです!

 

 

 

このシーンが実現したのはなんと言ってもダース・モールを演じたアクション俳優・スタントマンのレイ・パークのおかげですね。スリーピー・ホロウ(1999)では首なし騎士を演じて見ごとな剣さばきを、X-MEN」(2000)では「カエル」のトード役で「素顔」を披露しています。

 

 

 

次作の「クローンの攻撃」以降は、ライトセーバー対決はCGの発達のおかげで、幸か不幸かありえね〜と思うくらいアクロバティックになってしまいましたので、「スター・ウォーズ」全作品で最も見応えのあるこの「ファントム・メナス」の殺陣は貴重です。ダース・ベイダーに次ぐカッコよさを誇るシスの暗黒卿ダース・モールは本編でもっと活躍して欲しかったですね…。

 

 

 

ファントム・メナス」はまるで昔懐かしいエピソード4「新しき希望」のようなハッピーエンドで終わります。ダーク・サイドはまだほとんど姿を現してはいません。この先どんな展開が待ち受けているのか、この時点ではこれほどとは…予想もつかなかったですね…。

 

 

 

 

 

 

 

エピソード1「ファントム・メナス」からエピソード6「ジェダイの帰還」までの本編ディスク6枚と特典ディスク3枚の9枚組です。

 

 

 

 エピソード1「ファントム・メナス」からエピソード3「シスの復讐」までの新3部作=プリクエル・トリロジー、本編ディスクのみの3枚組です。 

 

 

 

 

「スター・ウォーズ」の真のラストは「スター・ウォーズ/ジェダイの帰還」にあり!

f:id:kazunokotan:20200301182211j:plain

こんにちは、カズノコです。

 

 

 

スター・ウォーズジェダイの帰還」(1983)は、旧3部作(オリジナル・トリロジー)の掉尾を飾る作品でありながら、スッキリしないわだかまりのようなものがあるんですよね…。

 

 

 

スター・ウォーズ(1977)とスター・ウォーズ/帝国の逆襲(1980)を、私は銀座のはずれ、京橋にあった映画館「テアトル東京」で観ました。とても大きな映画館で、他にもたくさんの映画を楽しませてもらいましたが、残念ながら「テアトル東京」は1981年に閉館となってしまいました。

 

 

 

ジェダイの帰還」は日比谷にあった映画館「有楽座」(この映画館も大きな映画館でしたが、1984年に閉館となりました…)で観ています。もっともその時の映画の題名はジェダイの復讐」でしたが…。

 

 

 

まず、この「ジェダイの復讐」を観終わって感じたのは「えっ、これで終わりなのか…。」というもの足りなさの残るものでした…。

 

 

 

「帝国の逆襲」の次回作への期待の持たせ方はほぼ完璧でしたカーボン凍結されたハン・ソロはどうなるんだろう……ルーク・スカイウォーカーダース・ベイダーの宿命の対決は……と、映画の公開を今か今かと待っていました。

 

 

 

が、映画が始まってあまりにもあっけなくハン・ソロの奪還に成功するし、その後もあれよあれよと話が進んで、気がついた時には映画が終わっていました…。

 

 

 

もちろん、壮絶なスピーダー・バイクのチェイスシーンや、デス・スター内部に飛び込むミレニアム・ファルコンの攻撃シーンCGに頼らないVFXとしては最高レベルにあり、その興奮度はハンパありません!

 

 

 

しかし、映画全体を通じ、どうにもこうにもエモーショナルな感情が湧き起こらなかったのは、なんででしょう?

 

 

 

この映画でいつもネタにされる、惑星エンドアの住人「イウォーク」のためでしょうか?確かに、私が高校3年という微妙な年頃で、イウォークのキャラにかわいさよりも何かあざとさを感じてしまった…ということもありました。

 

 

 

しかし、一番の原因は、ほぼ全編にわたって笑顔を見せることのないルークの暗さに代表されるように、「帝国の逆襲」ではあんなに人間臭かった個々のキャラクターに生き生きとした高揚感があまり感じられないことでした…。

 

 

 

やはり、これは「帝国の逆襲」では匂わせ程度だった暗さの象徴である皇帝が全面的に出てきたからでしょうね…。ジョージ・ルーカスが構想していた設定としてやむを得ないんでしょうが、広大な銀河系を舞台にした冒険談だったのに、ずいぶんスケールの小さな因果な物語になってしまったな…と。

 

 

 

ところで、スター・ウォーズ」「帝国の逆襲」「ジェダイの復讐」について、ジョージ・ルーカスは自身が望んでいたシーンに近づけるべく、デジタル合成のやり直しや再撮影及びCGによる新規シーンの追加等を行って、改めて「特別篇」として1997年に公開しています。

 

 

 

さらに、DVD、Blu-ray Discと新しく映像ソフトが発売されるたび、新3部作との整合化を図るために、この特別篇にさらに修正が加えていってます。

 

 

 

この行為について、ルーカスに一言だけ言いたい。映画は公開されたら、観客のものであるということです。

 

 

 

映画に関してはなんでこうも「特別篇」「ディレクターズ・カット」なるものが多いのでしょうね。(多少商売の匂いを感じることもありますが…)望まない編集やカットを強いられたり、予算や技術的に撮影できなかったりするケースは映画の場合、いくらでもあると思うんですよね。

 

 

 

監督や製作者が自分の作品を後でいじりたくなる気持ちもわからなくはありませんが、一度は完成品の映画として世に送り出し、観客はそれを受け入れてしまっているのだから、作り手の都合で未完成だからと勝手に変えてしまうのはアンフェアだと思います。。

 

 

 

ひさしぶりに観直してみると、懐かしい思い出とともに、「あれっ?自分の記憶していたのとちょっと違うけどな…」と妙な違和感を感じてしまうんですね…。

 

 

 

スター・ウォーズ」の「特別篇」の場合は、明らかに合成がうまくいっていないところ等を修正しているケースが多いですが、CGでルークの故郷の星であるタトゥイーンの建物やクリーチャーを付け加えたり、帝国銀と反乱軍の宇宙戦闘機による空中戦を派手に見せていますね。

 

 

 

問題は、いわゆる「ハンが先に撃った」など、旧来のファンとルーカスの間で論争を引き起こしたものでしょう。酒場でハン・ソロが賞金稼ぎのグリードをテーブルの下からブラスターで撃ち倒す場面が、特別篇ではグリードが先にソロを撃ったものの当て損ねたように修正。さらに、その後発売された映像ソフトでは、2人はほぼ同時に発砲したように修正されています…。

 


f:id:kazunokotan:20200301182336j:plain

 

 

個人的には、いきなりグリードを撃ったハン・ソロ「冷酷な殺人者」にも「卑怯者」にも全く感じませんでしたが、「どんな時でもきちんとルールを守るつまらないやつ」にしたかったんでしょうか?

 

 

 

ジェダイの帰還」のと「特別篇」では、ジャバの宮殿でバンド・メンバーが実写とCGで大幅に追加され、ボーカルもソロからツインへ、コーラス3名まで追加されています。それに伴って曲目も変更されているので、まるで印象が変わってしまっています…。新しい曲はソウルっぽいので、個人的にはこちらの方が好みかな…?

 


f:id:kazunokotan:20200301182016p:plain

 

 

それよりも気になるのがクライマックスの変更ですね…。ルークが皇帝の電撃ショック攻撃を浴びているとき、ダース・ベイダー苦悶するルークの姿を無言で眺め、そして逡巡します…。ところが、変更後の映像ソフトではダース・ベイダー「ノー!…ノー!」 と叫んで、皇帝を裏切るんですね…。うーん…わざわざ口に出さんでもな…。ヘルメットとマスクの下に感情を隠してこそダース・ベイダーだと思いますが…。

 

 

そして、映画の最後に勝利に沸く反乱軍の宴の傍らで、オビ=ワン・ケノービヨーダ、そして中年のおじさんの霊体がひっそりとルークらを見守っています。正直な話、最初のうちおじさんが誰だかわからなかったんですね…。よく見るとルークが瀕死のダース・ベイダーのマスクを外した時、中に入っていたおじさんか…とわかりましたけど。何しろダース・ベイダーハゲ頭で顔も傷だらけでしたからね…。

 

 

 

このおじさんを演じていたのがセバスチャン・ショウという俳優です。特別編ではセバスチャン・ショウのままでしたが、これも映像ソフトではヘイデン・クリステンセンに変えられています。 いくら何でもこの扱いは失礼だと思いますが…。

 


f:id:kazunokotan:20200301181857j:plain

  上がセバスチャン・ショウ 下がヘイデン・クリステンセン

 …よく見ると首から上だけがすげ替えられている…

 

  

 

オビ=ワンがアレック・ギネスのままなら、ヘイデン・クリステンセンが若いままのも違和感ありますし、それならば、オビ=ワンもユアン・マクレガーに変えたら…。それにクワイ=ガン・ジンが全く無視されているのもなんだかな…。それよりも、新3部作(プリクエル・トリロジー)を先に観ていないと、ヘイデン・クリステンセンが登場しても「あの、イケメン誰?」とならないかな?と余計な心配をしてしまいます…。

 

 

 

「特別篇」の是非はともかく、「ジェダイの帰還」におけるダース・ベイダーの最期は、「シスの暗黒卿」として銀河に恐怖をもたらした悪の象徴の終焉ではなく、悪の誘惑に負けて一度は地に堕ちた正義の騎士の魂の救済であり、新3部作の第1作「ファントム・メナス」から改めてシリーズを観た時には、一人の男の死として限りなく切なく美しいシーンとしてよみがえるものと思います。

 

 

 

ジェダイの帰還」は、スター・ウォーズ」の真の主人公がダース・ベイダーであり、ダース・ベイダーという一人の男の生涯について語られた物語であったことを踏まえて観ることにしましょう!

 

 

 

 

 

エピソード1「ファントム・メナス」からエピソード6「ジェダイの帰還」までの本編ディスク6枚と特典ディスク3枚の9枚組です。

 

 

 

 エピソード4「新たなる希望」からエピソード6「ジェダイの帰還」までの旧3部作=オリジナル・トリロジー、本編ディスクのみの3枚組です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」は史上最強の続編で、最高にエモーショナルな作品だ!

f:id:kazunokotan:20200228003122j:plain

こんにちは、カズノコです!

 

 

 

スター・ウォーズ(1977)はアメリカと日本での公開に1年以上のタイムラグがありましたので、テレビや新聞や雑誌などで話題として結構取りあげられていました。

 

 

 

それに比べると、続編であるスター・ウォーズ/帝国の逆襲(1980)が公開された時には映画の詳しい内容について、自分が知らんだけだったのかも知れませんが、ベールに包まれていたような気がします。

 

 

 

当時は、夏休みやお正月前に公開前の映画の特集を組むテレビの特番なんかがありましたが、「スター・ウォーズ」クラスにもなると、一本の映画だけで特番が組まれることもありました。

 

 

 

スター・ウォーズ」に関していえば、SFファンにはおなじみの野田昌宏が、親しみやすい語り口で、熱狂的に語っていたのをよく覚えてます。

 

 

 

スター・ウォーズ/帝国の逆襲」の特番でも野田昌宏は登場されていて、自身が映画のノベライゼーションを翻訳されていた時、後半訳しながら涙が止まらなかったことその内容については絶対話せません!と熱く語っていたのがとても印象的でした。

 

 

 

そんな展開があることを映画を観る前に知ってはいても、この映画の中でダース・ベイダーがルークに告げた衝撃的な事実には、私も映画館でルークと同じようにショックを受け、心の中で「嘘だ〜〜〜!」と叫んでましたね…。

 

 

 

たぶん、最も意外な展開にショックを受けた映画を選んだら、間違いなくベスト10の中に入るだろうと思います。

 

 

  

その予想を裏切る展開もさることながら、「帝国の逆襲」は「スター・ウォーズ」のシリーズの中でも、最も満足のいく素晴らしい作品であり、大好きになる要素がたくさんあります。

 

 

 

まず、「帝国の逆襲」の国際版ポスターのイラストを、日本人イラストレーターの生頼範義が手がけたこと!スター・ウォーズ」の歴代ポスターの中でも一、二を争う傑作だと思います。

 

 

 

 「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」(左)と「スター・ウォーズ」(右)のポスター

f:id:kazunokotan:20200228002826j:plain
f:id:kazunokotan:20100509221400j:plain

 

 前作のスター・ウォーズの国際版イラストポスター(ルーク・スカイウォーカーライトセーバーを頭上に掲げて、レイア姫が片膝ついて横にいるやつ)は、正直なところ、映画とイメージ違いすぎやろう…。

 

 

 

ルークはやたら胸板厚くてこれ見よがしに胸はだけているし、レイア姫太もも丸出しでポーズもなまめかしいし、これってイメージとしたら、ジョージ・ルーカスがほんとは映画化したかったフラッシュ・ゴードンじゃないの⁈

 

 

 

それに比べて、生頼範義の手掛けた「帝国の逆襲」のポスターは、油絵を思わせるタッチと、手前の主人公を小さく背景に敵キャラを大きく配置する構図と、グリーンを基調とした光あふれる宇宙空間の表現が非常に特徴的です。このポスターをスチル写真数枚と未編集のビデオ素材等提供を受けただけで、たった1か月半ほどで描き上げたというのが驚きです!

  

 

 

 確かに映画を観終わった後にポスターをもう一度見ると、そんなに活躍しないランド・カルリジアンがけっこう目立っていたり、映画ではほんの少しの登場しかない賞金稼ぎのロボット医療ロボットが同列で並べられていたり、多少おかしなところもありますが、ほとんど情報がないのに抜群の構成力でモノにした生頼範義は改めてエラいと思います!

 

 

 

次に、「スター・ウォーズ」の映画音楽と言えば、ジョン・ウィリアムスですが、「帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)」が、この「帝国の逆襲」で初めて使われたことです!

 

 

 

メイン・テーマと並び「スター・ウォーズ」シリーズを代表する音楽で、日本のテレビ番組でもメチャクチャ使われていますよね…。「悪」というイメージでの使いやすさとわかりやすさからはメイン・テーマより上かも…。

 

 


f:id:kazunokotan:20171211140750j:plain

 

 

三番目は、やっぱりヨーダ」の初登場でしょう。映画公開前には、その姿は秘密にされていましたので、映画館で初めて観た時は結構びっくりしましたよ…。

 

 

 

新三部作(プリクエル・トリロジー)では、CG化されてダイナミックなライトセーバー戦を繰り広げるジェダイ・マスターのヨーダも、この「帝国の逆襲」では人形感がハンパないですよね…。

 

 

 

ヨーダを演じている(正しくは操演している)のは、テレビ番組セサミストリートクッキー・モンスターバート等を演じていたフランク・オズです。当初は操演のみの予定でしたが、ヨーダの声がオーディションでは決まらず、結局、あの特徴的な声もフランク・オズが担当することになりました。

 

 

 

表情豊かなCGのヨーダもいいですが、マペットヨーダ、意外といいですよ。何よりもその仕草がかわいい!ルークの持っていた懐中電灯をチカチカさせて喜ぶところや、それをR2-D2にとられてしまい、持っていた杖でR2-D2をペチペチ叩くところなんか最高です!

 




f:id:kazunokotan:20200228002945j:plain

  

第四に、氷の惑星ホスでの帝国軍地上部隊の主力兵器であるAT-ATと反乱軍との雪上での戦いですね。このホスでのシークエンスはフィル・ティペットらによるストップモーション撮影が大活躍しています。

 

 

 

スター・ウォーズ」でストップモーション撮影と言えば、ミレニアム・ファルコン号の中でチューバッカとR2-D2が興じていたホログラフィックのクリーチャーが盤上で戦う「モンスター・チェス」のシーンが何と言っても有名ですよね。この「モンスター・チェス」はスター・ウォーズ/フォースの覚醒(2015)の中でも再登場しているくらい人気があるんですね。

 

 

 

AT-ATは動物園のゾウの動きを参考にしてストップモーション撮影されたそうですが、反乱軍にワイヤーで脚をぐるぐる巻きにされて、ドッターン! と倒れるAT-ATの姿は何度見てもスカッとします…。

 

 

 

最後に、「帝国の逆襲」はそれまでの映画の続編の常識をことごとく無視していました。

 

 

前作で帝国軍は敗北、反乱軍の勝利で終わったのに、本作ではすでに反乱軍は劣勢に立たされて、帝国軍との決戦が映画の冒頭にある劣勢にあった善玉の逆転劇は最後までなく、実質的に悪玉の勝利で終わる…。

 

 

 

物語としてはダークな内容でもあり、多くの疑問は残されたまま、この作品で明らかになった衝撃的な事実も広く知れ渡った今となっては薄れてしまい、ショッキングでもないでしょう。でも、不思議とフラストレーションがたまることなく、次回作への期待が高まるんですよね。

 

 

 

それは「帝国の逆襲」に登場するすべてのキャラクターにハートに訴えかける魅力があるからではないでしょうか?

 

 

 

ルーク・スカイウォーカーの覚醒と葛藤、ダース・ベイダーの抱える闇の深さ、ハン・ソロとレイアのいがみ合いと恋の行方、ヨーダの奇天烈なたたずまい、いつもながら笑いを誘うC-3POとぼけたR2-D2ら、主要な登場人物はもちろんのこと、ダース・ベイダーの怒りを買うまいとビクつく帝国軍の将校でさえも、私たちの印象に強く残ります。レイアの「オタンコナス」をはじめ、魅力的なセリフもたくさんあります。数あるキャラクターに人間くささを持たせた役割は大きいですよね。

 

 

 

「帝国の逆襲」次回作へと観客を導く役割に徹した、シリーズの中で、もっともロマンティックで人間味あふれる最強の続編です!

 

 

 

 

 

 

エピソード1「ファントム・メナス」からエピソード6「ジェダイの帰還」までの本編ディスク6枚と特典ディスク3枚の9枚組です。

 

 

 

 エピソード4「新たなる希望」からエピソード6「ジェダイの帰還」までの旧3部作=オリジナル・トリロジー、本編ディスクのみの3枚組です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リアルなおとぎ話」で映画に革命と、ルーカスに巨万の富をもたらした「スター・ウォーズ」

f:id:kazunokotan:20200227005413j:plain

こんにちは、カズノコです!

 

 

 

スター・ウォーズ(1977)の公開から40年以上がたちましたが、ジョージ・ルーカスが監督したこの一本の映画が映画界に残したものは、視覚効果や音響効果等のSFXやVFXからマーチャンダイジングに至るまで、まさに革新的なものばかりであり、その影響は計り知れません。

 

 

 

しかし、映画で描かれた世界は、私たちの想像するSF映画とはかけ離れた驚くほど古典的で普遍的なテーマを扱っており、汚れを知らない純粋な若者が、老練な知恵者や自分を支えてくれる仲間たちとの出会いを経て、未知の世界に冒険の旅に出る…という、まさに「神話」「おとぎ話」の世界で描かれてきた物語を、当時としては画期的な特殊技術で描いたところに新しさがありました。

 

 

 

もちろんこの「スター・ウォーズ」は公開当時はシリーズの中の一編として観客は観ていないのですが、ジョージ・ルーカスの確固たる信念に基づいた数々の「戦略」には驚くばかりです。

 

 

 

当初から「スター・ウォーズ」のシリーズ化を目論んでいたジョージ・ルーカスは、時系列では4番目にあたる「新たなる希望」から製作することを考えました。まず1作目が興行的に成功を収めなければシリーズ化が望めず、その意味で一番シリーズの中で冒険活劇として面白い「新たなる希望」を最初に映画化するのが最も良いと判断したんですね。

 

 

 

つまり、善玉は善玉、悪玉は悪玉として、どこまでもわかりやすく描くことに徹しています。悪玉の悪だくみを善玉が阻止しようとして、戦いの火ぶたが切られることになるのです。娯楽映画の王道であり、戦争映画をはじめ、西部劇海賊映画、とりわけ日本の時代劇、それも黒澤明監督の諸作品が与えた影響は大きいですよね。 ハラハラする展開や冒険もたっぷり盛り込まれ、最後にはハッピーエンドが待っています。

 

 

 

もし、私たちがこの「新たなる希望」をシリーズの中の一編として位置付けて観ていたなら、これほど熱狂的にこの映画を迎えたでしょうか…? 乱暴な言い方をすれば、デス・スターを吹っ飛ばす!」 …この映画はこの一点に集約される潔いほどのシンプルさがよかったのではとないかと思いますね。

 

 

 

この「スター・ウォーズ」には映画にも映画の製作を巡るものにもトリビアや裏話的なものがたくさんあります。

 

 

 

20世紀フォックスと契約を結んだジョージ・ルーカスは、「スター・ウォーズ」の監督としての報酬を抑える代わりに得た権利が、続編の権利ライセンス権の二つでした。

 

 

 

映画が成功するか失敗するかはルーカス本人もわかりませんでしたが、シリーズの残りの物語をあくまでも自分で作ことのできる立場でいたかったルーカスにとって続編権はどうしても欲しかった権利でした。ライセンス権は映画のグッズを商品化する権利でしたが、当時は映画のポスターかTシャツぐらいにしか適用されず、スタジオ側はもちろん誰もそんなものが金になるとは思いもしませんでした。もっとも、ルーカス自身もスター・ウォーズ」のTシャツが欲しかったという程度でしたが…。

 

 

 

 

ルーカスの要望にスタジオ側は「妙な権利を欲しがるもんだ…」とあっさり応えてくれましたが、これが後に、ルーカスは映画の興行収入以上の巨万の富を手に入れることになります。ジョージ・ルーカスが、その後自身のルーカスフィルム自己資金で新三部作(プリクエル・トリロジー)を製作するのは22年後になりますが…。

 

 

 

スター・ウォーズ」の映画そのものに目を向けると、まずは映画冒頭、私たちの頭上をこれでもかと、どこまでも飛び続ける巨大な宇宙船「スター・デストロイヤー」に度肝を抜かれた!のではないでしょうか?

 

f:id:kazunokotan:20200227005246p:plain

 

私は、今はなき「テアトル東京」で満員で立ち見のためシネラマ上映館の特性を生かし床に寝転がって「スター・ウォーズ」を観ましたので、ある意味日本で一番理想的な状況でスター・デストロイヤーのデカさを感じることができたのかもしれません…。

 

 

 

映画の「つかみ」としては最高!ですよね!この宇宙船の型破りな描写だけで、今までのSF映画で見慣れた銀色ののっぺりとした流線形の宇宙船は過去のものになってしまいました…。

 

 

 

ハン・ソロの愛機ミレニアム・ファルコン号も見た目、とても空飛ぶ宇宙船には見えませんでした。船内でロープを張って洗濯物でも干していそうな生活感に溢れています。

 

 

 

このリアル感が「スター・ウォーズ」にはここかしこにありました。宇宙船やロボットはピカピカした光沢のある過去のSF映画で登場したものとはかけ離れており、油や埃で薄汚れており、いかにも日常で使い慣れた感にあふれています。

 

 

 

このミレニアム・ファルコンと帝国軍の宇宙戦闘機「タイ・ファイター」とのドッグファイトは、個人的には最も「スター・ウォーズ」らしさを感じる名シーンだと思います。

 

f:id:kazunokotan:20200227005137j:plain

 

 

ミレニアム・ファルコンの可動式の銃座から敵機を迎え撃つハン・ソロルーク・スカイウォーカー、タイ・ファイターを操縦する帝国軍のパイロット、飛び交う敵機を目で追うチューバッカとレイア姫、爆撃の振動に右往左往するC-3POR2-D2と、目まぐるしく変わる細かいカット割りがいいですよね~。

 

 

 

バックに流れるジョン・ウィリアムスの高揚感あふれる音楽も素晴らしい!ほとんどコックピットからの映像で、後のこのシリーズで繰り広げられる宇宙船同士のドッグファイトのシーンから比べると、予算や技術的な問題もあったのでしょうが、素晴らしい編集でCG以上の効果をあげていると私は思います!

 

 

空中戦の描写は、ルーカス監督は絵コンテを描くよりも第一次、第二次世界大戦の記録映像から戦闘機の動きを再現してもらうようスタッフに指示したそうで、そんなところも地味ながらもリアルな空中戦を創り出せたのでしょうね。

 

 

 

ところで、最後の反乱軍によるデス・スターの攻撃シーンで、ダース・ベイダーが帝国軍のパイロット二人を引き連れ、自らタイ・ファイターで出撃するシーンがあります。

 

 

ここでのダース・ベイダーのセリフが、英語では「Several fighters have broken off from the main group. Come with me.」であり、字幕では「敵は二手に分かれた。一緒に来い。」、現行のDVDやブルーレイに収められている大平透の吹き替えでは「敵が三機ほど別行動をとろうとしている。ついて来い。」と訳されています。

 

 

ところが、1983年に日本テレビで「スター・ウォーズ」がテレビ初放映された時、ダース・ベイダーの声を鈴木瑞穂が吹き替えていたのですが、その時のセリフが「ひさしぶりに空中戦を楽しむとするか…ついて来い。」と記憶しており、全く違っているんですね…。

 

 

当時は黒いケープをまといライトセーバーをブンブン振り回すダース・ベイダーと宇宙戦闘機のパイロットのイメージが何となく結びつかなかったんですが、ダース・ベイダーがかつて優秀なパイロットだった…ことを知っている今では十分すぎるほど納得がいきますよね…。

 

 

新三部作(プリクエル・トリロジー)が映画化されるはるか前の早い段階でこのセリフ、びっくりするほどハマっていると思いますが、いかがでしょうか?

 

 

 

 

 

 

エピソード1「ファントム・メナス」からエピソード6「ジェダイの帰還」までの本編ディスク6枚と特典ディスク3枚の9枚組です。日本語吹替は1種のみです。

 

 

 

 エピソード4「新たなる希望」からエピソード6「ジェダイの帰還」までの旧3部作=オリジナル・トリロジー、本編ディスクのみの3枚組です。

 

 

 

 

 

 

 

「スター・ウォーズ」シリーズを最も楽しく観る方法があった⁈

f:id:kazunokotan:20200227005037j:plain

こんにちは、カズノコです!

 

 

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」(2019)で、SF・ファンタジー映画の金字塔である「スター・ウォーズ」シリーズが、1977年にアメリカで公開された第1作(エピソード4 新たなる希望)から42年、ついにフィナーレを迎えました!

 

 

ジョージ・ルーカスが創造した「スター・ウォーズ」シリーズは、実写映画の第1作が公開されて以降、アニメーションや小説、コミック、ビデオゲームなど、さまざまな派生作品がありますが、やはり映画本編のシリーズがなじみ深いですよね。

 

 

「エピソード4 新たなる希望」(1977)、「エピソード5 帝国の逆襲」(1980)、「エピソード6 ジェダイの帰還」(1983)からなる旧3部作に始まり、「エピソード1 ファントム・メナス(1999)、「エピソード2 クローンの攻撃(2002)、「エピソード3 シスの復讐(2005)からなる新3部作へと続きました。

 

 

そして、2012年にウォルト・ディズニー・カンパニールーカスフィルムを買収してスター・ウォーズシリーズの著作権を取得、新体制の下で「エピソード7 フォースの覚醒」(2015)、「エピソード8 最後のジェダイ(2017)、「エピソード9 スカイウォーカーの夜明け」(2019)からなる続3部作が製作され、全9部作が完結することになりました。

 

 

「スカイウォーカーの夜明け」をご覧になられた皆さんは、どのような思いでこの「シリーズ完結作」を観られたんでしょうかね…?

 

 

巷ではまさに賛否両論ですよね…。これだけ世界中に老若男女問わずファンがおり、新作が作られるたびに話題を呼ぶシリーズはそうそうありませんので、作る側としても相当なプレッシャーがかかるのは当然でしょう。私個人としては「とりあえず、ありがとう…」と言う気持ちでした。

 

 

私はスター・ウォーズのマニアックなファンではありません。それでも1978年7月に日本で公開されたスター・ウォーズを、東京の京橋にあった映画館「テアトル東京」で初めて観た思い出は強く残っています。

 

 

1978年の日本公開からさかのぼること約1年前、いまアメリカで「スターウォーズ」と言う映画がヒットしているという新聞記事を見たのが始まりです。

 

 

その記事には映画の一コマとして荒い粒子の写真が付いていましたが、それは毛むくじゃらのモンスターと二体の白いロボットが歩いている不思議なものでした。

 

 

今から思えば、それは帝国軍のデス・スターに潜入したルーク・スカイウォーカーハン・ソロが機動歩兵のストーム・トルーパーに化けて、チューバッカを連れて歩いている写真でしたが、「どんな映画なんだろう?」という想像だけが膨らんでましたね…。

 

 

中坊だった私は無謀にもロードショー初日の次の日曜日の早朝に弟を連れて映画館に向かいました。かなり時間に余裕をみて来たにもかかわらず、私の目に飛び込んできたのは映画館を取り囲むように並んでいる人・人・人の行列でした…。

 

 

「まぁ次の回には観れるだろう…」と思って暑い中、弟と二人で2時間以上待ち続けた甲斐もなく、行列は思ったより進まず、また次の回を待つことになりました。

 

 

さらに2時間以上、朝からは4時間以上待ったところで、やっと行列が動き始めました。「これでやっと観られる!」という期待も空しく列は一向に進みません…。私も弟もさすがに焦り、もうこうなったら意地でもこの回には観ないとダメだ…」と思いました。

 

 

映画館の従業員の方がハンドマイクで「お立ち見になります!」と連呼している横をやっとのことで映画館の中に潜り込みました。劇場の中でこれまた私の目に飛び込んできたのは立ち見どころか、通路という通路にびっしり人が座りこんでいる光景でした。みんな映画を観終わっているのに帰らないんですよね…「入れ替え制」なんてない時代でしたからね…。

 

 

「テアトル東京」は当時としても数少ないシネラマ上映館であったためかどうかはよくわかりませんが、スクリーン最前部の床が緩やかに傾斜してスクリーンに向かって上がっており、そのまま床とスクリーンが一続きのような構造になっていました。

 

 

 私と弟がやっとのことでスペースを見つけられたのは、スクリーン左端最前部でした。そこからスクリーンを見上げると画面は大きく湾曲してしまい、まともに観ることはできません…(そのため、そのスペースが空いていたとも言えますが…)

 

 

そこで、私と弟がとった行動は、ほぼ頭上にあるスクリーンを見るために仰向けに寝転んだことでした。今から思えば、子どもだからできた荒業です…。映画館で床に寝転がって映画を観た経験は後にも先にもこの時だけです。

 

 

さんざん苦労してやっとこさ映画が始まり、あの「A long time ago in a galaxy far, far away …」の字幕に続いて、STAR WARSのタイトルが出たときには万雷の拍手に場内は包まれていました…。

 

 

…「スター・ウォーズ」を初めて劇場で観た時の個人的な体験を長々と失礼しましたが、あの頃はスター・ウォーズ」に対する無邪気な情熱と心踊る期待にあふれていたということです。

 

 

もちろん、この映画が9部作で構成される長大な物語の一部であることなど知る由もなく、このかつて見たことも聞いたこともないスペースオペラの世界を純粋に楽しめたことは幸福な体験でした。

 

 

ところで、スター・ウォーズ」シリーズ9部作はどのような順番で観るのがよいのでしょうか? と言っても、映画が製作された順番で観ていくかか、エピソード順に時系列で観ていくかの2通りしかないのですか…。

 

 

私は断然、製作された順番で、つまりエピソードでいえば「4→5→6→1→2→3→7→8→9」の順番で観るべきだと思います。なぜなら、単純に映画は「次はどんな展開になるんだろう…」と期待を持たせて面白く観ることができるように作られているからです。

 

 

ということで、私もスター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望」から自分なりのレヴューをしていきたいと思います。

 

 

 

 

 

エピソード1「ファントム・メナス」からエピソード6「ジェダイの帰還」までの本編ディスク6枚と特典ディスク3枚の9枚組です。特典映像だけで40時間以上もあります…。

 

 

 

 エピソード4「新たなる希望」からエピソード6「ジェダイの帰還」までの旧3部作=オリジナル・トリロジー、本編ディスクのみの3枚組です。

 

 

 

 エピソード1「ファントム・メナス」からエピソード3「シスの復讐」までの新3部作=プリクエル・トリロジー、本編ディスクのみの3枚組です。