寄り道し過ぎで、迷子になってしまったのか…「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」
こんにちは、カズノコです!
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」(2017)が、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(2015)の続編として公開されたとき、つくづく思ったのが、世間の評判と自分の認識とのズレですね…。
この「最後のジェダイ」に対する批判と不評の嵐に驚いた覚えがあります
ただ、「スター・ウォーズ」の生みの親であるジョージ・ルーカスは「フォースの覚醒」よりも「最後のジェダイ」を高く評価したようですね。ルーカスは、「スター・ウォーズ」に「さらなる新しさが盛り込めているか」を評価の対象としますので、その点で過去の設定を無視するような展開はコアなファンからは総スカンを食っても、ルーカスは良しとしたのでしょうね。
監督と脚本は、ライアン・ジョンソン。前作の監督と脚本を務めたJ・J・エイブラムスは製作総指揮へと代わっています。監督がライアン・ジョンソンと聞いて、最初は全くピンとこなかったんですが、ジョセフ・ゴードン=レヴィットとブルース・ウィルスが出演したSF映画「LOOPER/ルーパー」(2012)の監督と聞いて、「ずいぶん思い切って抜擢したもんだ!」とびっくりするとともに、かすかな期待と不安を覚えたものでした…。カラーが違うような気がしたからです。
ライアン・ジョンソン監督にとって「LOOPER/ルーパー」は脚本も彼自身が書いていますが、彼にとって出世作ですよね。「タイムトラベルもの」や「タイムループもの」は一般的には脚本が練られていないといけませんが、「LOOPER/ルーパー」はややこしい設定をよくものにしていて、非常に面白く観た覚えがあります。
ついでに、長編映画監督デビュー作となる「BRICK ブリック」(2005)も観ましたが、ひとことで言いあらわすなら「学園もの+ハードボイルド」という何とも形容しがたい映画でした。この映画の脚本も本人が書いていますが、「LOOPER/ルーパー」と同じように「先の読めない」面白さで、ジャンルにとらわれないながらも自分の個性をはっきりと映画に反映させるタイプだなと思いました。
「LOOPER/ルーパー」「BRICK ブリック」いずれにしても、過去に撮ってきた映画が「スター・ウォーズ」とは水と油のような異なるテイストの映画でしたので、ライアン・ジョンソンなら、間違いなく「スター・ウォーズ」に新しい血を注ぎ込んでくれる、とでも思ったのでしょうか?
率直な感想としては…やっぱりダメダメでしょうか…。自分で脚本を手掛ける監督にしては肝心の脚本がいかがなものかと…?
「フォースの覚醒」で新しく登場した、レイ、フィン、ポーの三人のキャラクターは一人一人さらに三人の関係もさらに膨らみを持たせてほしかったですね。レイは出自にこだわりすぎ!引っぱりすぎて収拾がつかなくなって、さらに次作へ持ち越し…って、そんなに時間かけて引っぱる価値がある…?
フィンもよくわからないやつですよね…。「フォースの覚醒」ではストームトルーパーあがりにもかかわらず、まさかのライトセーバーを使ってのカイロ・レンとの一戦に、一部ではフィンが「シスの復讐」で命を落としたジェダイ・マスターのメイス・ウィンドゥの隠し子説もありましたが…。それはともかく、レジスタンスの女性整備士のローズと行動をともにして(この暗号解読者を探すくだりは長すぎる…。何のために出てきたんだ、ベニチオ・デル・トロ…。)何となくいい仲になったりして、何やってんだ!と言いたい。
めぢから違いすぎ…ホントに親子?…それとも孫?
ポーもひどいですよね…。冒頭のファースト・オーダーとの艦隊との戦いで、命令無視の単独行動で味方のレジスタンスに大損害を与えています。まあ、レジスタンスの爆撃機も、まるで火薬庫に羽を生やして飛ばしているような信じられない代物ですが…。ポーは降格で済みましたが、軍事裁判にかけられたら死刑になっても不思議ではない大失態じゃないかと思いましたね…。
旧シリーズからのファンは、ルークやレイア、ハン・ソロの扱いがひどいとの話ですが、それも否定できないですよね…。ストーリーの構成上から新しい主役に花道を譲らなければならないとは思うんですが、それにしても、敵の攻撃を受けて船外の宇宙空間に投げ出されてしまったレイアが、フォースの力でもって空間を飛んで味方の宇宙船へと舞い戻ってくる姿には、思わず映画館の椅子からずり落ちてしまいました…。
まあ、いろいろ不満があっても「よかった!」と思える瞬間はどんな映画にもあるもので、「最後のジェダイ」では、ファースト・オーダーの最高指導者スノークを、カイロ・レンが裏切ってライトセーバーで真っ二つに切断してしまう瞬間ですね。
スノークが殺された後、護衛していた8人の親衛隊がレイとカイロ・レンに襲いかかり、この二人がまさかの共闘をして親衛隊を全滅させるくだりは、この映画の中で最高のカタルシスを感じさせてくれました。
戦いが終わった後、カイロ・レンは、レイに「俺と手を組んで二人で銀河を支配しよう!」と、どこかで同じようなセリフを聞いたかな…と思いましたが、レイは謝絶してカイロ・レンとは決別します…。
最高指導者スノークも正体がよくわからないまま、あっさりと退場してしまいましたが、これも諸説ありました。銀河帝国皇帝のパルパティーン=ダース・シディアスの師匠であるダース・プレイガス説とか、ジェダイ・マスターのメイス・ウィンドゥが実は生きており、ダーク・シディアスから電撃ショックを受けた時に肌が青ざめ、顔に大きな傷を負ったというメイス・ウィンドゥ説(ここでも出るんかい、サミュエル・L・ジャクソン!存在感ありすぎ…。)等、今から考えるとトンデモ説でしたね…。
パルパティーンも電撃ショックで顔真っ白になって額に溝ができてたしな…。
「最後のジェダイ」は上映時間152分と「スター・ウォーズ」シリーズ史上最長でありながら、中身が薄い、というか「寄り道」しすぎなんですよ。謎をもう少し明らかにして話を前に進めておかないと、三部作として企画した次の最終作にしわ寄せがこないかと…。
「フォースの覚醒」のラスト、レイがルークにライトセーバーを差し出すシーンでは鳥肌立ってしまうほどだったのに…。それもかなわぬ夢となりました…。
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