ハゲ親父のささやき

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「ハズレ」ばかり⁇ スティーブン・キング原作の映画たち

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こんにちは、カズノコです。

 

ここのところ、「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」や「ドクター・スリープ」と、アメリカのホラー作家であるスティーブン・キング原作の映画が続けて公開されています。

 

私もスタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」スティーブン・キングの名前を始めて知った一人で、キングの熱心な読者と言うわけでもありませんが、1980年代の日本で突如吹き荒れたモダン・ホラー」ブームに乗っかり、キングの長編や短編、リチャード・バックマン名義の作品まで新潮文庫、文春文庫、扶桑社ミステリー等、複数の出版社から次々に邦訳が出され、それこそむさぼるように読んでました…。

 

 キングほどその小説が映像化されている作家はいないんじゃないでしょうか?それも作品によっては二度、三度と映像化された作品もあります。これだけ映像化された作品の中にはもちろん「ハズレ」もあるのでしょうが、原作者としてのキングとしては、あの「シャイニング」だけは許せないようですね…。

 

そんな100近くもある膨大な数の映像化作品から、特に私の思い入れのある作品をご紹介します。

 

 

①「デッドゾーン(1983)

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デヴィッド・クロネンバーグ監督が得意の「肉体崩壊」描写を封印して、抑えた演出に徹した最良の一作。交通事故による昏睡後に超能力を身につけた主人公のジョニー・スミスをクリストファー・ウォーケンが演じ切り、彼を襲う悲劇には切なくなること必至です。カナダのトロントで撮影された寒々しくも美しい風景はスミスの心象風景とも重なり、音楽も盛り上げます。音楽は絶対ハワード・ショアやろ…と思ったら、意外やマイケル・ケイメン!原作ではもう一人の主役ともいえる地元政治家のグレッグ・スティルソンのパートがかなりの分量を占めるのですが、映画ではその部分をバッサリと切り、スミスの視点に絞ったジェフリー・ボームの脚本も見事としか言うことがありません。

 

 

 

②「ミザリー(1990)

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同じくキング原作の「スタンド・バイ・ミー」(1986)のロブ・ライナー監督によるサイコ・スリラー。この映画は主役のアニー・ウィルクスを演じたキャシー・ベイツの怪演に尽きます!彼女はこの映画でアカデミー主演女優賞を受賞しています。ただし、原作の小説で描写されるアニーの方がもっと陰惨で残酷で怖い!映画はよい意味で恐怖とユーモアが絶妙にブレンドされ(これは監督のロブ・ライナーと脚本のウィリアム・ゴールドマン、ベストセラー作家を演じたジェームズ・カーンらの熟練の技の賜物でしょう)、かなり楽しめる作品となっています。

 

 

 

③「スタンド・バイ・ミー(1986)

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キング原作の非ホラー小説の映画化としては「ショーシャンクの空に」(1994)と双璧でしょう。この映画を観た当時印象に残ったのは、「こいつら12歳の少年のくせに、やけにタバコを美味そうに喫うなぁ…」と思ったことと、ゴーディ少年が夜焚火を囲んで仲間に語る「ブタケツのパイ食いコンテストでの復讐」の話でした…。やはり、大人になってからでないとこの映画の本当の良さはわからないんでしょうね…。今は亡きリバー・フェニックスが輝きを放っていた映画でもあります…。

 

 


④「ショーシャンクの空に
(1994)

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この映画の原作が、私自身はサラッと読み流してしまった中編小説の「刑務所のリタ・ヘイワース」(1982)だったとは当初は全くわかりませんでした…。公開時にはノーチェックで、後に口コミで面白い映画があるよ、というのを聞いて観て初めてわかりました。評価のメチャクチャ高い映画で、キングの引き出しの広さを改めて感じましたね。ティム・ロビンスモーガン・フリーマンの好演もあるでしょうが、ここはやはり監督・脚本を務めたフランク・ダラボンの功績でしょう。鑑賞後にこれだけ爽やかな幸福感に包まれる映画も珍しいですね。

 

 

 

⑤「ペット・セメタリ―」(1989)

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ジョージ・A・ロメロと長らくタッグを組んでいるリチャード・P・ルビンスタインが製作(監督はメアリー・ランバート)なので「ゾンビ映画」かな?と思う向きもありますが、元ネタは恐怖小説が好きな人ならおなじみの古典中の古典、W・W・ジェイコブズの猿の手です。ホラー映画ですが、ペットや家族の身近な愛する者の死という、避けては通れない葛藤にどう向き合うか問う映画でもあります。キャスト等やや地味な印象ですが、描写はなかなか強烈で人によってはトラウマになるほどです。特に、3歳の息子ゲージを演じたミコ・ヒューズは人形のようにかわいらしいのに、メスを持たせるとすごいんです…。この作品もリメイクされ、2020年1月に日本でも公開予定です。

 

 

 

⑥「黙秘」(1995)

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原作となった小説「ドロレス・クレイボーン(1993)は、キングが映画「ミザリー」(1990)で主演したキャシー・ベイツを主人公のドロレスを想定して、しかも、全編ドロレスの一人称の“しゃべり”で記したというすごい力技の作品です。映画の方は真逆の「黙秘」の題名通り静かに展開しますが、一人称視点の原作を映画用に解体・構築し直した脚本の力で、ミステリ映画として十分堪能できる仕上がりになっています。主演のキャシー・ベイツはもちろんですが、娘セリーナを演じたジェニファー・ジェイソン・リーがとてもいいんですね。脚本のトニー・ギルロイ、監督のテイラー・ハックフォードもいい仕事をしています。

 

 

 

 

⑦「クリープショー(1982)

f:id:kazunokotan:20191210223431j:plainこの映画は5話の短編で構成されたオムニバスのホラー映画で、キングの書き下ろしオリジナル脚本になります。SF、ホラーや猟奇犯罪を題材にしたECコミックスの再現を画面でも試みており、どぎつい色彩や効果音など漫画を見ているような感覚に陥ります。スタッフもキャストも今から見るとすごく豪華です!特筆すべきは、第2話の「ジョディ・ベリルの孤独な死」主演しているスティーブン・キングキングは自分が原作の映画によく出演していますが、これはしっかり演技していて、しかも結構笑えます…。あと、ほとんど話題にもなりませんでしたが、続編のクリープショー2/怨霊」 (1987)も意外と掘り出し物ですよ。

 

 

 

 

⑧「クリスティーン」(1983)

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小説の出版される前から映画化の企画があったというのが驚きですが、原作にあった前の持ち主のルベイの怨念が取り憑いた車から、車そのものに邪悪な意思がある設定に変更されています。結果的に「クリスティーン」と名付けられた真っ赤な1958年型プリムス・フューリーと主人公アーニーの歪んだ愛の物語が描かれることになりました。この映画の見どころは何と言っても「クリスティーン」に尽きます。悪ガキどもに破壊された車体を自己修復するクリスティー(このシーンに流れる「ハーレム・ノクターンがいいんです…)、夜の闇の中を火だるまになって静かに走るクリスティーン、ぞくぞくするほど美しいクリスティーンの姿をジョン・カーペンター監督も愛情をもって描いているようです。

 

 

 

⑨「ミスト」(2007)

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キングの長編、短編の中でこの映画の原作となった中編「霧」(1980)が、個人的には最も好きな作品なんです。あのフランク・ダラボンの監督・脚本で映画化されたと聞いて、カービー・マッコーリー編集の「闇の展覧会」で初めて読んだ時の感動を胸に、映画館に足を運んだものです。原作の小説にほぼ忠実に話は進み、もう嬉しく嬉しくて…もちろん、ラストの衝撃に座席でしばらく固まっていましたが…。キング自身はこの結末の変更について称賛しているようですが、テーマは全く別のものになってしまいますよね…。

 

 

 

⑩「シャイニング」(1980)

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キングにキューブリックはホラー映画の何たるかがわかっていない」とか「エンジンの積んでないキャデラック」とかどんなにボロクソに言われようが、(ある意味、皮肉なことですが)キング原作のホラー映画の金字塔としての地位はこの先も揺るがないのではないでしょうか?やっぱりはずせませんね…。

 

 

 

 

うーん、選んでみると意外とよい作品がありますね…。「キャリー」(1976)もグリーンマイル(1999)もバトルランナー(1987)も「痩せゆく男」(1996)もIT/イット(2017)も抜けてしまっている…。「ハズレ」と言われている作品にも、何かしら愛着はあるもんですね。

 

これから先もキングの作品は映像化、そして過去の作品もリメイクされていくでしょうから、当分楽しみがなくなることはないですね…。

 

 

 

 

 

 

 

 「キャリー」から「ドクター・スリープ」まで網羅されたガイド本が、タイミングよく発売されました!ちょっと高価ですが、これはスゴイ本になりそうですね。

スティーヴン・キング 映画&テレビ コンプリートガイド

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日本ではやや不幸な公開をされましたが、気軽に鑑賞できるようになって欲しいですね。いずれはBDで発売になるのでしょうか?

デッドゾーン [DVD]

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撮影は「アダムス・ファミリー」や「MIB」のバリー・ゾネンフェルド監督です。

 

さりげなく、キーファー・サザーランドリチャード・ドレイファスが出演しているのもいいですね。

  

映画のポスターにもなっていた有名な写真をジャケットに使用していますが、公開当時は一体何の映画かさっぱりわかりませんでした…。

  

おどろおどろしい「パスコ―」の顔の大写しのジャケットから変更されて、雰囲気はよくなった?

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この作品もBD化を望みたいですね…。でも「黙秘」と言う邦題はよかったものか?

  

個人的には、第5話の「這い寄るやつら」が大好きですね!E・G・マーシャルえらい!

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ジョン・カーペンター監督が「苦手」とする「恋愛映画」としてもよくできています!

  

 いつまで「後味の悪い映画№1」とか「鬱映画」とか、言われ続けるのでしょうか…。

ミスト Blu-ray

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 やっぱり「コンチネンタル・バージョン」が好きですね…。

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