ハゲ親父のささやき

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「教場」はキムタク、フジテレビにとって起死回生の一作となるか?

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こんにちは、カズノコです!

 

 

「令和」となって初めてのお正月…食っちゃ寝、食っちゃ寝と寝正月を決め込んでいましたら、目の覚めるような強烈なドラマをフジテレビがやってくれました!フジテレビ開局60周年記念の新春スペシャルドラマ「教場(きょうじょう)」です!

 

 

木村拓哉主演で1月4日と5日の二夜連続で、前後編にわたって放送されました。視聴率も前編15.3%、後編15.0%(関東地区 関西地区は前編16.5%  後編17.2%  ビデオリサーチ調べ) と大変好調だったようですね。

 

 

「教場」とは聞きなれない言葉ですが、警察学校の教室を指す言葉だそうです。舞台となるのは警察官となるための警察学校ですが、閉鎖的な空間の中で生徒の人間性が試されるような試練の連続が展開していく…と想像していたら、そもそもその生徒たちが想像を絶するとんでもない奴らばかりだった!

 

 

よくもここまで集めたと思えるほど、この警察学校の生徒はゲスな奴らばかりで、こんな輩が警察官になったら…と思うと恐ろしさを感じるほどの犯罪者集団。学校内に調達係の生徒までいるところはまさに「刑務所もの」を観ているような雰囲気…。窃盗、恐喝、暴行、密造、放火ばかりか殺人もありの世界で、悪事が露見してもブタ箱に入れられずに退校で済むのが不思議なくらい…。

 

 

木村拓哉はこの警察学校の初任科第198期短期過程の教官である風間公親(かざまきみちか)を演じていますが、風間は「警察学校とは適性のない人間をふるいにかける場である」と考えており、常に退校届を携え、何かあればすぐに「退校届を提出しろ」と生徒に迫る非情な男です。

 

 

「何をやってもキムタク」と評されることの多い木村拓哉ですが、このドラマでのイメージチェンジは大成功ではないでしょうか?白髪に義眼という外見もインパクト抜群ですが、感情を表に出すことなく生徒に試練を与え冷徹な判断を下していく風間の人物像によるところが大きいと思います。

 

 

トラブルを抱えた生徒に退校届を渡して子飼いとし、スパイのように学校内での情報を吸い上げ、鋭い観察力と洞察力で判断していく風間の姿はまさに探偵のようです。私はいわゆる安楽椅子探偵を思い浮かべました。

 

 

 部屋から出ることなく、あるいは現場に赴くことなく事件を推理する探偵安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクテブ)」と言います。風間は子飼いとした生徒から情報を収集していき、それら断片的な情報から次々と生徒たちの秘密を暴き、ふるいにかけていきます。

 

 

また、警察学校が舞台ですので、容疑者から情報を引き出す様々なテクニック等を授業で教えるシーンもこのドラマには多くありますが、そのテクニックを応用して生徒たちが起こす事件の真相を暴いていくスリリングな展開もあります。

 

 

そこでドラマを観ている私たちも、いつの間にか「風間教場」の生徒に一員となったかのような気持ちになり、臨場感と緊迫感を持続したままドラマの前編は終わり、後編へとつながります。

 

ところが、このドラマの後編では、ふるい落とされずに残った「風間教場」の生徒たちが卒業に向けての最後の試練に臨むに至って、「学園もの」の様相を見せていくんですね…。

 

 

最後に至って、風間に退校届を突きつけられた生徒ばかりが卒業まで残っているのを見て、風間教官の真意がわかったような気がしました。

 

 

多くを語らず生徒に厳しく当たる風間の姿は、ある意味時代から取り残された古風な男でもあり、そのような男は背中で語り伝えていくんだな…と何か懐かしさも感じましたね。このような男の役をキムタクが演じるとは…。

 

 

あと、教室の後ろの壁に貼ってある「教場旗」とでも言うのでしょうか、富士山に椿の花が背景に描かれた旗に、大きく「疾風勁草」しっぷうけいそう)と書かれています。

 

 

この「疾風勁草」という言葉の意味は「激しく強い風が吹いて初めて、折れることのない強い丈夫な草がわかる」ということから「苦境や厳しい試練にあるとき、初めて意志や節操が堅固である人、その人の真の強さがわかる」ということだそうです。まさに、風間教官がめざす真の警察官の姿、また、このドラマのテーマを言い当てたいい言葉ですね。

 

 

ラストの卒業式で卒業生を送り出し、再び入校したばかりの新入生を迎える風間教官の姿に、ルイス・ゴセット・ジュニアが士官学校の鬼教官を演じ、リチャード・ギアをしごき上げた「愛と青春の旅立ち(1982)のような感動を覚えるとは、前編を観ていた時点では思いもよらんかった…。

 

 

しかし、「風間教場」に新たに迎える新入生の顔ぶれをよくよく見ると、「これは間違いなく続編が作られるな…」と思えるような今をときめく若手俳優の面々がそろっていましたね…商売上手なんだから、フジテレビ!

 

 

キムタク、フジテレビともども、このドラマ「教場」で新たな鉱脈を掘り当てたのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 原作は2013年の「週刊文春ミステリーベスト10」第1位、2014年の「このミステリーがすごい!」第2位を獲得したベストセラーです!ドラマ「教場」の脚本は原作小説の「教場」と「教場(2)」を元にして、「踊る大捜査線」シリーズ等で人気の君塚良一が手掛けています。

教場 (小学館文庫)

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教場 (2) (小学館文庫)

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 「教場」でメガホンを握った中江功が1998年に木村拓哉とタッグを組んだ野沢尚脚本のミステリードラマの最高峰(と個人的には思っています)。現在では観るのが難しいかも知れませんが、未見の方は機会があればぜひ! 

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