ハゲ親父のささやき

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細かいことは気にしない!オールスターキャストの大型娯楽時代劇「柳生一族の陰謀」

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こんにちは、カズノコです!

 

 

 

深作欣二監督の名作時代劇柳生一族の陰謀が、NHK-BS「スーパープレミアム」でテレビドラマとして4月11日(土)よみがえります!

 

 

 

1978年に公開された映画柳生一族の陰謀は、東映12年ぶりに製作した、映画・演劇・テレビ各界のオールスターを集めてキャスティングした時代劇の復活を賭けた大作でした。

 

 

 

同年に公開された野性の証明」「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」に続き、邦画配給収入第3位(邦画・洋画全体でも7位)の大ヒットを記録しています。

 

 

 

1978年というと、あのスター・ウォーズ未知との遭遇が公開された年ですからね…。当時、中坊だった私が時代劇に興味を示すわけもなく、「柳生一族の陰謀」も後年テレビで観て、改めてその面白さにぶっ飛んだ記憶があります。

 

 

 

1950年代、東映は、勧善懲悪をテーマにした明朗快活な時代劇で映画界に一大ブームを巻き起こします。ピークには2日に1本のメチャクチャなペースで映画が量産されましたが、1960年代に入ると時代劇は下火になり、末期には十三人の刺客(1963)など集団抗争時代劇を生み出すもののブームは終焉を迎えます。

 

 

 

代わって「人生劇場 飛車角」(1963)のヒットをきっかけに、勧善懲悪の時代劇の世界を明治から昭和初期のヤクザの世界に置き換えた、時代劇の変種ともいえる仁侠映画を量産し、ヤクザ映画のブームを作ります。1973年の仁義なき戦いシリーズ」でヤクザ映画も戦後の実録路線に切り替えますが、その仁義なき戦いシリーズ」を監督したのが深作欣二でした。

 

 

 

深作欣二監督の初の時代劇となった柳生一族の陰謀は、まさに「仁義なき戦い」のような陰謀と裏切りが錯綜する集団抗争時代劇でしたね。徳川幕府の三代将軍位を巡る争奪戦を基に、実在した歴史上の人物と史実をフィクションで織り交ぜたスケールの大きい脚本は野上龍雄松田寛夫深作欣二の共同脚本です。

 

 

 

柳生一族の陰謀」の面白さは、実録秘話というか荒唐無稽ともいえる脚本にあると思うんですが、キャスティングも秀逸でしたね。

 

 

 

まず、柳生十兵衛を演じた千葉真一深作欣二監督は、かつての東映時代劇の主流であったチャンバラ映画ではなく、黒澤明監督のリアリズム時代劇とも違う、もっとテンポのあるアクション時代劇を作りたいとかねてから思っており、その実現のためには柳生十兵衛役には千葉真一しかいないと決めていました。

 

 

 

千葉真一にとっても柳生十兵衛は当たり役となり、その後、テレビや映画で何度も十兵衛を演じています。中でも、同じく深作欣二監督の映画魔界転生(1981)での柳生十兵衛もワイルドでカッコよかったですね。

 

 

 

もう一人の主人公である柳生但馬守宗矩を演じたのは萬屋錦之介東映時代劇では宮本武蔵(1961)に代表される、絶対的なヒーローばかりを演じてきた黄金期のスターであり、東映としては時代劇を復活させるためにも萬屋錦之介の出演を切望していたといいます。

 

 

 

ただ、「柳生一族の陰謀」での柳生但馬守宗矩はダークヒーローであり、このダークヒーローを嬉々として演じた萬屋錦之介は、この映画の中で現代劇を中心とした他のキャストからも完全に浮きまくっていましよね…。

 

 

 

まず、歌舞伎さながらの時代がかった所作とセリフ回し!当初この映画を観た時は、深作欣二監督があえてこのような演出を試みたと思ったんですが、事実は全くの逆で、深作が過剰な大見得芝居をやめるよう萬屋に伝えたところ「他の方は知りませんが、私はこれでやらせていただきます」と返答されたそうです…。

 

 

 

ただ、この萬屋錦之介の過剰なまでに作り込んだ演技があってからこそ、この映画のラスト、あまりにも有名で当時の流行語にもなった「夢だ、夢だ、夢だ夢だ夢だ〜、夢でござ〜る!」のセリフが生きてきたんですね!萬屋の狂気に満ちた顔にも注目です!

 

 

 

しかし、何と言おうとこの映画で一番カッコいいのは、公家で剣豪烏丸少将文麿を演じた成田三樹夫です!成田三樹夫と言えば、実録路線の東映ヤクザ映画の常連俳優ですが、この烏丸少将文麿濃ゆ~いキャラ満載の「柳生一族の陰謀」の中でも、ひときわ異彩を放っており、強烈なインパクがありました。

 

 


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白塗りの顔に「オホホホホ…」と甲高く笑い、「~でおじゃる」とマロ言葉を使うなよなよした公家にしか見えないのに、刀を抜くと一瞬で顔つきまで変わってしまい、優雅に舞を舞うように相手を斬ってしまう、とてつもない剣豪なんですね…。

 

 

 

また、徳川幕府に対し、いつかは王政復古を狙おうとしている朝廷側随一の切れ者であるところもカッコいい!柳生十兵衛率いる根来忍者から奇襲をかけられた時も、十兵衛の弟を見つけると「柳生の子息よな。烏丸少将文麿お相手いたしまするぞ!」 と剣を抜き、いとも簡単にバッサリと斬ってしまう…。次兄の仇と妹の志穂美悦子が向かってきたときも「マロはおなごを斬る刀は持たぬ!」と余裕を見せる…。

 

 

 

でも、肝心かなめの十兵衛との一戦は、意外とあっけなく終わってしまうんですよね…「姿は隠しても獣は臭いでわかりまするぞ」なんて名セリフもあるのに…。柳生十兵衛の引き立て役としてはつらいところですが、後に関西テレビ制作の連続ドラマ化された「柳生一族の陰謀」でも同じ成田三樹夫が烏丸少将役を演じているところを見ると、皆さん強烈な印象を受けたんでしょうね…。

 

 

 

 

異色キャラ満載の壮大なホラ話である柳生一族の陰謀」…今回、NHKがどうドラマ化するのかが楽しみです!

 

 

 

 

 

 

 「我につくも 敵にまわるも 心して決めい!」という惹句がいいですね…。この「柳生一族の陰謀」の惹句を作ったのは、東映映画の宣伝コピーを書いていた伝説の「惹句師」関根忠郎です。 

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