「スター・ウォーズ」の真のラストは「スター・ウォーズ/ジェダイの帰還」にあり!
こんにちは、カズノコです。
「スター・ウォーズ/ジェダイの帰還」(1983)は、旧3部作(オリジナル・トリロジー)の掉尾を飾る作品でありながら、スッキリしないわだかまりのようなものがあるんですよね…。
「スター・ウォーズ」(1977)と「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」(1980)を、私は銀座のはずれ、京橋にあった映画館「テアトル東京」で観ました。とても大きな映画館で、他にもたくさんの映画を楽しませてもらいましたが、残念ながら「テアトル東京」は1981年に閉館となってしまいました。
「ジェダイの帰還」は日比谷にあった映画館「有楽座」(この映画館も大きな映画館でしたが、1984年に閉館となりました…)で観ています。もっともその時の映画の題名は「ジェダイの復讐」でしたが…。
まず、この「ジェダイの復讐」を観終わって感じたのは「えっ、これで終わりなのか…。」というもの足りなさの残るものでした…。
「帝国の逆襲」の次回作への期待の持たせ方はほぼ完璧でした。カーボン凍結されたハン・ソロはどうなるんだろう……ルーク・スカイウォーカーとダース・ベイダーの宿命の対決は……と、映画の公開を今か今かと待っていました。
が、映画が始まってあまりにもあっけなくハン・ソロの奪還に成功するし、その後もあれよあれよと話が進んで、気がついた時には映画が終わっていました…。
もちろん、壮絶なスピーダー・バイクのチェイスシーンや、デス・スター内部に飛び込むミレニアム・ファルコンの攻撃シーンはCGに頼らないVFXとしては最高レベルにあり、その興奮度はハンパありません!
しかし、映画全体を通じ、どうにもこうにもエモーショナルな感情が湧き起こらなかったのは、なんででしょう?
この映画でいつもネタにされる、惑星エンドアの住人「イウォーク」のためでしょうか?確かに、私が高校3年という微妙な年頃で、イウォークのキャラにかわいさよりも何かあざとさを感じてしまった…ということもありました。
しかし、一番の原因は、ほぼ全編にわたって笑顔を見せることのないルークの暗さに代表されるように、「帝国の逆襲」ではあんなに人間臭かった個々のキャラクターに生き生きとした高揚感があまり感じられないことでした…。
やはり、これは「帝国の逆襲」では匂わせ程度だった暗さの象徴である皇帝が全面的に出てきたからでしょうね…。ジョージ・ルーカスが構想していた設定としてやむを得ないんでしょうが、広大な銀河系を舞台にした冒険談だったのに、ずいぶんスケールの小さな因果な物語になってしまったな…と。
ところで、「スター・ウォーズ」「帝国の逆襲」「ジェダイの復讐」について、ジョージ・ルーカスは自身が望んでいたシーンに近づけるべく、デジタル合成のやり直しや再撮影及びCGによる新規シーンの追加等を行って、改めて「特別篇」として1997年に公開しています。
さらに、DVD、Blu-ray Discと新しく映像ソフトが発売されるたび、新3部作との整合化を図るために、この特別篇にさらに修正が加えていってます。
この行為について、ルーカスに一言だけ言いたい。映画は公開されたら、観客のものであるということです。
映画に関してはなんでこうも「特別篇」や「ディレクターズ・カット」なるものが多いのでしょうね。(多少商売の匂いを感じることもありますが…)望まない編集やカットを強いられたり、予算や技術的に撮影できなかったりするケースは映画の場合、いくらでもあると思うんですよね。
監督や製作者が自分の作品を後でいじりたくなる気持ちもわからなくはありませんが、一度は完成品の映画として世に送り出し、観客はそれを受け入れてしまっているのだから、作り手の都合で未完成だからと勝手に変えてしまうのはアンフェアだと思います。。
ひさしぶりに観直してみると、懐かしい思い出とともに、「あれっ?自分の記憶していたのとちょっと違うけどな…」と妙な違和感を感じてしまうんですね…。
「スター・ウォーズ」の「特別篇」の場合は、明らかに合成がうまくいっていないところ等を修正しているケースが多いですが、CGでルークの故郷の星であるタトゥイーンの建物やクリーチャーを付け加えたり、帝国銀と反乱軍の宇宙戦闘機による空中戦を派手に見せていますね。
問題は、いわゆる「ハンが先に撃った」など、旧来のファンとルーカスの間で論争を引き起こしたものでしょう。酒場でハン・ソロが賞金稼ぎのグリードをテーブルの下からブラスターで撃ち倒す場面が、特別篇ではグリードが先にソロを撃ったものの当て損ねたように修正。さらに、その後発売された映像ソフトでは、2人はほぼ同時に発砲したように修正されています…。
個人的には、いきなりグリードを撃ったハン・ソロを「冷酷な殺人者」にも「卑怯者」にも全く感じませんでしたが、「どんな時でもきちんとルールを守るつまらないやつ」にしたかったんでしょうか?
「ジェダイの帰還」のと「特別篇」では、ジャバの宮殿でバンド・メンバーが実写とCGで大幅に追加され、ボーカルもソロからツインへ、コーラス3名まで追加されています。それに伴って曲目も変更されているので、まるで印象が変わってしまっています…。新しい曲はソウルっぽいので、個人的にはこちらの方が好みかな…?
それよりも気になるのがクライマックスの変更ですね…。ルークが皇帝の電撃ショック攻撃を浴びているとき、ダース・ベイダーは苦悶するルークの姿を無言で眺め、そして逡巡します…。ところが、変更後の映像ソフトではダース・ベイダーは「ノー!…ノー!」 と叫んで、皇帝を裏切るんですね…。うーん…わざわざ口に出さんでもな…。ヘルメットとマスクの下に感情を隠してこそダース・ベイダーだと思いますが…。
そして、映画の最後に勝利に沸く反乱軍の宴の傍らで、オビ=ワン・ケノービ、ヨーダ、そして中年のおじさんの霊体がひっそりとルークらを見守っています。正直な話、最初のうちおじさんが誰だかわからなかったんですね…。よく見るとルークが瀕死のダース・ベイダーのマスクを外した時、中に入っていたおじさんか…とわかりましたけど。何しろダース・ベイダーはハゲ頭で顔も傷だらけでしたからね…。
このおじさんを演じていたのがセバスチャン・ショウという俳優です。特別編ではセバスチャン・ショウのままでしたが、これも映像ソフトではヘイデン・クリステンセンに変えられています。 いくら何でもこの扱いは失礼だと思いますが…。
上がセバスチャン・ショウ 下がヘイデン・クリステンセン
…よく見ると首から上だけがすげ替えられている…
オビ=ワンがアレック・ギネスのままなら、ヘイデン・クリステンセンが若いままのも違和感ありますし、それならば、オビ=ワンもユアン・マクレガーに変えたら…。それにクワイ=ガン・ジンが全く無視されているのもなんだかな…。それよりも、新3部作(プリクエル・トリロジー)を先に観ていないと、ヘイデン・クリステンセンが登場しても「あの、イケメン誰?」とならないかな?と余計な心配をしてしまいます…。
「特別篇」の是非はともかく、「ジェダイの帰還」におけるダース・ベイダーの最期は、「シスの暗黒卿」として銀河に恐怖をもたらした悪の象徴の終焉ではなく、悪の誘惑に負けて一度は地に堕ちた正義の騎士の魂の救済であり、新3部作の第1作「ファントム・メナス」から改めてシリーズを観た時には、一人の男の死として限りなく切なく美しいシーンとしてよみがえるものと思います。
「ジェダイの帰還」は、「スター・ウォーズ」の真の主人公がダース・ベイダーであり、ダース・ベイダーという一人の男の生涯について語られた物語であったことを踏まえて観ることにしましょう!
エピソード1「ファントム・メナス」からエピソード6「ジェダイの帰還」までの本編ディスク6枚と特典ディスク3枚の9枚組です。
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エピソード4「新たなる希望」からエピソード6「ジェダイの帰還」までの旧3部作=オリジナル・トリロジー、本編ディスクのみの3枚組です。
スター・ウォーズ オリジナル・トリロジー ブルーレイコレクション(3枚組) [Blu-ray]
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