エディー・ジョーンズは、ラグビーワールドカップの歴史を塗り替えられるのか⁈
こんにちは、カズノコです。
日本代表が悲願の決勝トーナメント進出を果たし、日本中で盛り上がったラグビーワールドカップ2019日本大会も残すところ、3位決定戦と決勝戦のみとなりました。
決勝トーナメントで日本が南アフリカに破れたのはとても残念でしたが、ワールドカップ三連覇をかけ優勝候補の筆頭にあげられ順当に勝ち上がってきた世界ランキング1位のニュージーランドを相手に、多くの下馬評を覆してイングランドが準決勝で勝利したのには「にわかラグビーファン」である私も正直驚きました。
イングランドといえば、ラグビー発祥の国ですが、4年前の2015イングランド大会では自国開催でありながら予選敗退という悪夢のような屈辱を味わっています。
再起を期したイングランドは、この大会で大躍進を遂げた日本代表のヘッドコーチを務めていたエディー・ジョーンズを招いて、チームの立て直しを図ってきました。
イングランドのエディー・ジョーンズHCはニュージーランドとの試合の勝利後に、「我々は世界最高のチームになろうとプランを立てて2年半準備してきた」と語っています。
エディー・ジョーンズが言う「2年半」とは、この2019日本大会のプール戦の組み合わせ抽選会が行われたのが遡ること2017年5月であり、イングランドとニュージーランド双方のチームが順当に勝ち上がれば、決勝トーナメントで激突することをこの時点で見越して準備していたということになります…!
両チームの通算成績はニュージーランドの33勝7敗1分けでイングランドを圧倒しており、イングランドが頂点に立つためには、どうしても越えなければならない壁だったともいえるでしょう。
このエディー・ジョーンズHCは、日本との縁がとても深く、日本でもおなじみの顔ですよね。父はオーストラリア人、母は日系アメリカ人2世のハーフで、エディー本人はクォーターになります。奥さまのヒロコ夫人は日本人の日本語教師です。
エディーはラグビーの選手としてオーストラリア代表に選出された経歴はありませんでしたが、現役を引退し、ラグビーの指導者としてスタートを切ったのは日本で、東海大学ラグビー部監督として来日したのがすべての始まりでした。
その後、サントリーやオーストラリアのラグビーチームのコーチを経て、オーストラリア代表ヘッドコーチに就任し、自国開催となったワールドカップ2003オーストラリア大会で決勝戦までコマを進めます。決勝戦の相手はなんとイングランドで延長戦までもつれるも敗北してしまいます。イングランドはこれがワールドカップ初優勝でした。
その後もエディーはオーストラリア代表HCを務めますが、成績不振により更迭。紆余曲折を経て、2007年南アフリカ代表のチームアドバイザーに就任。ワールドカップ2007フランス大会での南アフリカの2度目の優勝に貢献します。この時の相手チームもなんとイングランド…。因縁を感じますね。
その後、サントリーのGM兼HCを務め、日本選手権優勝とトップリーグ制覇を達成し、いよいよ日本代表のHCに就任します。
日本代表は2015イングランド大会の初戦で南アフリカ相手に「史上最大の番狂わせ(ジャイアントキリング)」と言われた劇的な勝利をあげました。
この試合、日本が3点ビハインドで迎えた終了間際に南アフリカからペナルティをとり、同点キックのチャンスを得ます。HCのエディーからの指示はキックでした。ところが、選手はキックの指示に従わずスクラムからのトライを選択します。
エディー・ジョーンズHCは「日本ラグビーを変えるには、ワールドカップで勝つことがすべて」とワールドカップでの勝利に強いこだわりをみせていました。
また、「よく言われる『ノーサイドの精神』だけでは足りない。ラグビーをしている限り勝たなければいけないのだから」とも述べています。
選手はエディーの指示に逆らったわけではなく、常日頃から「勝ちにいく」との意識をエディーから植え付けられていたので、ここはまさにその「勝ちにいく」状況やと自然に判断してスクラムを組んだんですね…。
ここからあの劇的な逆転トライが生まれるのですが、この時日本代表のプロップとして出場していた畠山健介選手の裏話では、グランドの選手たちがキックの指示に従わなかったことを見たエディーは、思わず頭につけていたヘッドホンを叩きつけて壊したくらい激怒したそうです…。トライが決まってホントよかったですね(笑)
エディー・ジョーンズHCは、ニュージーランド戦の勝利でこれまで指導者としてかかわったワールドカップでの戦績を26勝2敗1分(1分けは台風19号による試合中止)としています。なんと2敗しかしていないんですね…1敗はオーストラリア代表HCの時のイングランドとの決勝戦、もう1敗は日本代表HCの時の因縁のスコットランド戦です…。
ワールドカップ2019日本大会の決勝はいよいよ11月2日!決勝でぶつかる南アフリカは並外れたフィジカルを持ったFWと堅実な防御を誇り、準決勝では欧州ナンバー1のウェールズを下して決勝戦に臨みます。
かつて南アフリカ代表のスタッフでもあったエディー・ジョーンズは、徹底的に相手を研究し、いかにして「勝ちにいくか」策を練っているに違いありません。
準決勝のニュージーランド戦の後に、エディーはこうも言っています。「歴史はまだ作られていない。来週の試合が残っている」と。
ワールドカップの歴史において、前の大会で予選敗退したチームが次の大会で優勝したことはいまだないそうです。ワールドカップの歴史を塗り替えて、エディー・ジョーンズが頂点に立つ日となるのでしょうか?
チームを勝利に導くための方法論をエディー自身が自ら書き綴った一冊。あの「ヘッドホン叩きつけ事件」に対するエディーの「告白」も本書の最後で語られます…。
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