ダークサイド満開の問題作⁈「ミッション:インポッシブル3」
こんにちは、カズノコです。
トム・クルーズの「ミッション:インポッシブル」シリーズについて語っていきたいと思います。今回は第3弾!
「ミッション:インポッシブル3」(2006)
前作「ミッション:インポッシブル2」から6年、トムもさすがにこのままだと「ミッション:インポッシブル」を名乗っていくのはまずいと思ったのか、スパイ活動を単身からチームへ路線を回帰させます。
このあたりはトムの映画プロデューサーとして極めて優秀な資質が垣間見られますね…しかも今回、監督として白羽の矢が立ったのは、テレビドラマ「エイリアス」や「LOST」のクリエイターとして有名だったJ.J.エイブラムスで、なんとこの「ミッション:インポッシブル3(M:I:Ⅲ)」が初監督作品でした!
J.J.エイブラムスは後に、「スター・トレック」(2009)、「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(2013)を続けて監督し、新たな「スター・トレック」の世界をみごとによみがえらせました。
驚くべきことに、J.J.エイブラムスの快進撃はこれで終わりません。
スペース・オペラの金字塔「スター・ウォーズ」の新三部作の第一作「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(2015)、そして2019年12月20日に日米同時公開される最新作で完結編となる「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」を監督するまでビッグになるとは…。
ここはトム・クルーズの「先見の明」に驚くべきでしょうね…。
個人的には、J.J.エイブラムスの映画は好きなんですが(特に「スター・トレック」シリーズは大好き!)、この「M:I:Ⅲ」を見たときには、正直なところやや複雑な思いもありましたね…。
J.J.エイブラムスは、テレビシリーズの特徴である「チームプレー」を意識して前2作よりも「スパイ大作戦」に近い形にしています。そのあたりは全く賛同できるのですが…
あまりにもウェットな物語の展開はどうでしょうか?
映画の冒頭で「10カウントするまでにお前が吐かないとこいつを撃つ」という、よくあるシーンを持ってきて「10」でホントにズドンと撃ってしまう…というシチュエーションは、「えーっ、この後どうなるんだろう?」と思っても、その後の展開を期待にワクワクしながら…と言うのとは全く違うんですよね…。
「悲惨な死にざま」が多く描かれたり、登場人物が拉致されたり、拷問されたり、動機付けが復讐だったり、かなりダークな一面がある「M:I:Ⅲ」ですが、
何よりも許せんのは、イーサン・ハントが結婚までしてしまっていること!しかも、一般人と…。結婚そのものはダークではないけど…いやダークか…⁈
チームメンバーのルーサーも「スパイは結婚するもんじゃない」と言っているにもかかわらずです…。
スパイ映画の本家である「007」においてでさえも、スパイが一般人と結婚する前例がないわけではありませんが、アーノルド・シュワルツェネッガーの「トゥルー・ライズ」(1994)のようにうまくいくのはレアなケースでしょう。「トゥルー・ライズ」は半分コメディですし…。
いずれにしても、敵に必ず狙われます!そのための設定と言われても仕方がない…。
「M:I:Ⅲ」の悪口ばかり書いているようですが、私がこの映画で一番好きなシーンは、イーサンたちが敵の親玉のオーウェン・ディヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマンがイヤらしさ全開!)を拉致して移送させる途中で、敵の攻撃に遭う橋上のシーンですね。
中でも、イーサンがミサイルの攻撃を受けて爆発した車のその爆風でフワッと身体が浮き上がり、横にある車に叩きつけられるシーンはかなりリアル。
そうなんですよ。「M:I:Ⅲ」のあちこちに散りばめられた「リアルさ」は、いいところもあれば悪いところもある。
テレビシリーズの「スパイ大作戦」の持つ、いい意味で空想の現実離れした世界との相性が、「M:I:Ⅲ」では今ひとつかみ合っていなかったような気がします…。
以前「M:I-2はシリーズの中で最もカラーの異なる作品」と記しましたが、
「M:I:Ⅲは、M:I-2に負けず劣らずシリーズの中で最もテイストの異なる作品」と言ってしまいます!