メロドラマ?「ミッション:インポッシブル2」あなたはお好き?
こんにちは、カズノコです。
トム・クルーズの「ミッション:インポッシブル」シリーズについて語っていきたいと思います。今回は第2弾!
「ミッション:インポッシブル2」(2000)
前作「ミッション:インポッシブル」から4年、トムの変わりようにビックリした覚えがあります…短髪からロングヘアに、スーツ姿からタンクトップのマッチョになっていただけではなく、度肝を抜かれたのは映画冒頭のロック・クライミングですね…。
今でこそ、2020年の東京オリンピックで追加種目に採用された「スポーツクライミング」や「ボルダリング」で目にする機会こそ多くなりましたが、
20年前にこの映画で岸壁にへばりつくようにして上がっていくトム・クルーズを見たときには、「なんて危ねーことする奴なんだ…手が滑ったらどうすんだ…」と、ハラハラしつつも、こんなスタント、ハリウッドスターのやることか…と、なかば呆れてました。
「ミッション:インポッシブル2(M:I-2)」の監督は、ブライアン・デ・パルマ監督から香港ノワールで一時代を築き、ハリウッドに進出したジョン・ウー監督にバトンタッチされました。
アクション演出に定評のあるウー監督も、このトムの無謀なフリークライミングのシーンはさすがに生きた心地がしなかったそうです…。
この「ミッション:インポッシブル」シリーズは2019年10月現在、全部で6作品作られていますが、M:I-2はシリーズの中で最もカラーの異なる作品と言われています。
前作の「ミッション:インポッシブル」に色濃く残っていた「スパイ大作戦」の遺伝子はなくなり、チームでの活動も全くと言っていいほど目立ちません。チームのメンバーも、レギュラーの「ルーサー」は別として、ヘリコプターのパイロットくらいしかいません。シリーズのどの作品よりも地味です。格段にチャラくなった「イーサン・ハント」一人が大活躍する、別のシリーズのようです。
確かに全編を通じてトム・クルーズのナルシスティックなまでの「ボクって、カッコいい? そう? もっと見たい? 見たいでしょ? なら見せてあげる…」というオーラがあふれており、あくまで想像ですが、トムのあらゆる要求にウー監督は応えていったと思えます。
このシリーズのよいところでもあるんですけど、監督が一作ごとに代わることで、まるで別の映画のようにカラーが変わってしまうんですね。それも5作目、6作目の監督をクリストファー・マッカリー監督が続投したことで崩れてしまいましたが…。
ついでに言うと、ジョン・ウー監督も、クリストファー・マッカリー監督も、カーチェイスやバイク・アクションが好きな監督ですが、受ける印象はまるで違います。
特に、この「M:I-2」でのカーチェイスでは、イーサンの運転するポルシェと、この映画のヒロインである女泥棒ナイアの運転するアウディが、まるでダンスを踊るようにクルクル回りながらスローモーションで走るシーンがあるんですが、あまりに奇妙な絵柄に「そんなアホな…!」と絶句してしまうシーンです…。
でも、改めて見直すと、一つの時代を作った「ジョン・ウー・アクション」って、何か妙に懐かしいですよね。「二丁拳銃」に「白い鳩」に「スローモーション」にケレン味たっぷりのお約束のシーンはすべてあります。
「ミッション:インポッシブル」シリーズは、アルフレッド・ヒッチコック監督へのオマージュがあちこちに散りばめられているとよく指摘されます。まず、シリーズ第1作の監督を務めたブライアン・デ・パルマ監督は、誰よりもヒッチコック監督の信奉者であることを否定する人はいないと思います。
では、この「M:I-2」はどうでしょう? これは物語の展開が、ヒッチコック監督作品の「汚名」(1946)そのまんまなんですね…。
「汚名」はヒッチコック監督作品の中でも、ちょっと知名度で落ちるかもしれませんが、ヒッチコック映画常連のケーリー・グラントと、イングリッド・バーグマンがヒロインを演じた名作です!
一言でいえば、「惚れた女を任務とはいえ、敵の手に委ねることができるか?」という話です。「M:I-2」のストーリーそのものでしょ?
「汚名」はヒッチコックの映画としては、ちょっとメロドラマの要素が強いと個人的には思うのですが、そんなところも「M:I-2」と似てますよね?
「M:I-2」は前作を超える大ヒットとなりましたが、トム・クルーズは「ミッション:インポッシブル」シリーズの次作「M:I:Ⅲ」で、またまた軌道修正をすることになります…。