ハゲ親父のささやき

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金田一耕助のイメージをぶち壊す新たな傑作の予感「獄門島」

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こんにちは、カズノコです。

 

NHK-BSのスーパープレミアムで、横溝正史の「金田一耕助」シリーズがドラマ化されています。最近では最新作となる「八つ墓村」を放送していましたね。

 

「スーパープレミアム」シリーズの「金田一耕助」シリーズの長編のドラマ化では2016年に「獄門島、2018年に悪魔が来りて笛を吹くに続き、今回の八つ墓村が3作目になります。

 

金田一耕助」シリーズの映画化やドラマ化では、まず誰が金田一耕助を演じるかが注目されると思うのですが、「獄門島」では長谷川博己が、「悪魔が来りて笛を吹く」と「八つ墓村」は吉岡秀隆がそれぞれ個性的な金田一耕助を演じています。

 

まず「獄門島ですが、何より目を引くのはドラマとは思えないほどのクオリティーの高さでしょうか?

 

配役も長谷川博己のほかに、仲里依紗古田新太奥田瑛二小市慢太郎ら、なかなか豪華な顔ぶれです。ロケも佐渡で行っていて、孤島で起きる連続殺人の不気味な空気感がよく出ています。

 

驚いたのは「きちがいじゃが仕方がない」という重要なセリフも放送コードの関係で変更や削除されたりすることも多いのですが、そのまま使われている!

 

長谷川博己の演じた金田一耕助も、過去金田一耕助とは一線を画すキャラクター金田一耕助像を作り上げています。

 

従軍体験が心にトラウマを負ったのか、情緒不安定かと思えるほどエキセントリック!

 

最後に犯人を追い詰めていくときの甲高い笑い声と容赦のない言葉攻めは正直言って、石坂浩二古谷一行が演じてきた過去の金田一耕助を見慣れた目には、違和感アリアリです。

 

金田一耕助は、見事な推理で真犯人を暴く名探偵、というよりもどちらかと言えば、事件の成り行きを静かに見守り、そこに隠された人間関係を探求する傍観者的な役割とでも言うのでしょうか…正直言って、犯人がすべて殺害を完遂してから事件を解決に導いてます。(…それって名探偵?)

 

まあ、本格推理を原作とした映画・ドラマ化は、真犯人が割れてしまうと再見に堪えないものも多いですが、金田一耕助」シリーズは犯人がわかっていても面白い!

 

同じ作品を何回見ても新たな発見があり、また、別の俳優が演じた作品との違いを見比べられる等、違った面白さを発見できるいいところでもあります。

 

この長谷川版金田一の「獄門島」は、横溝正史「獄門島」が日本の推理小説ベスト1に選ばれるほどの名作であり、意外にも原作に忠実にドラマ化されています。

 

また、何より金田一のキャラも立ちまくっていることから、過去に映画・ドラマ化された「獄門島」の中でも五本の指に入る出来の良さではないでしょうか?

  

 

 

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現代最強のスターが命をかけて取り組んだ奇跡‼「ミッション:インポッシブル フォールアウト」

 

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こんにちは、カズノコです。

 

トム・クルーズの「ミッション:インポッシブル」シリーズについて語っていくシリーズ、今回は第6弾!

 

ミッション:インポッシブル フォールアウト」(2018) 

 

 

前々作ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」(2011)は傑作でした!

 

と思ったら、前作ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」(2015)は新たな傑作でした!

 

では、最新作はハードル超えるには高いぞ…と思ったら、ミッション:インポッシブル フォールアウト」は軽々と超えた大傑作でした!

 

監督・脚本は、「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」から引き続いての登板となったクリストファー・マッカリーですが、何ゆえシリーズの「監督は一作ごとに代わる」慣例を破ってまで、シリーズ初の監督続投となったのでしょうか?

 

 

ミッション:インポッシブル」シリーズは、過去の映画(特にアルフレッド・ヒッチコック監督作品)へのオマージュにあふれたシリーズで、映画の記憶が呼び起こされることが多いのですが、むむ、シリーズも6作目にもなると、「ミッション:インポッシブル」シリーズへのオマージュがあふれている!

 

アクションひとつとっても、とんでもない高さからの降下しての潜入カー&バイクアクション、「トム・クルーズ走り」、そしてクライマックスのヘリコプターチェイスと、シリーズでおなじみとなったアクションシーンをさらにスケールアップして見せてくれるのだから、ため息とともに頭が下がります。

 

このシリーズを1作目から見続けてきたファンにとっても、幸せな記憶が呼び覚まされる秀逸なストーリー&画面展開、驚くべきことに、クリストファー・マッカリー監督はこの映画の脚本を完成しないまま撮影を開始し、本編を撮影しながら物語を組み立てていったと言います。

 

トムは撮影現場で『いいアクションのアイデアがある!』と直感的に方向性を決めていくタイプのようです。それは「観客の度肝を抜くためのスタントありきのシナリオ」ではなく、トムが自分の分身である「イーサン・ハント」ならこんなエモーショナルな展開でいけると、まともな映画プロデューサーならゴーサインを出さないスタントにチャレンジしていった結果とも言えます。

 

考えるよりも先に体が動いてしまうそんなイーサン・ハントの活躍をカメラにおさめるために現場で修正し撮影していくのは、いくら脚本家出身の監督とはいえ、至難の業かと思います。クリストファー・マッカリー監督は、そんな映画プロデューサーとしてのトムの要求に応えることのできる数少ない監督なんでしょう。

 

映画の中でビルの屋上を疾走し、ビルからビルへとジャンプするイーサン・ハント…。このシーンの撮影中にトムは実際に壁に衝突して足を骨折しましたが、撮り直しは出来ないと即座に判断してそのまま演技を続け、実際そのシーンは映画に使われたそうです…。

 

また、敵のヘリコプターからぶら下がるロープにつかまったまま空高く上昇し、ヘリコプターへ乗り込もうとして落下するイーサン・ハント…。このシーンでイーサン・ハントがヘリから落ちると事前に聞いていなかったベンジー役のサイモン・ペッグはトムが本当に落ちた事故だと思い、「これで撮影も中止だな」と思ったそうです…。

 

トム・クルーズはどんどんジャッキー・チェン化、いや、ジャッキー・チェンを超えているやないか…」と、映画を見ている間、ずーっと思っていました…。

 

ジャッキー・チェンも、プロジェクトA」(1983)を代表作と認める人が多いと思いますが、この頃のジャッキー・チェン主演、監督、脚本、武術指導を一人で務め、体を張った限界アクションに挑戦し続けてました。

 

でも、「プロジェクトA」を撮影していた時のジャッキー・チェン29歳

「フォールアウト」を撮影していた時のトム・クルーズはなんと56歳ですよ!

いま、スタントマンやCGに頼らず、トムのレベルのアクションをこなすことのできる、いわゆる肉体派の俳優がいるでしょうか?

 

いや、スター俳優が危険なスタントに挑戦しようとしても、諸事情により周囲からストップをかけられるのが関の山でしょう。

  

そんな中で、トム・クルーズは、真っ当なヒーローを説得力をもって演じることのできる、スター俳優として孤高の極みに至ろうとしている奇跡のように思えます。

 

 

 

ミッション:インポッシブル」シリーズの製作会社であるパラマウントは、早くもシリーズ第7弾を2021年7月、続く第8弾を2022年8月に全米で公開すると発表しました! と同時に、クリストファー・マッカリーが脚本・監督を務めることも正式に決まりました!

 

トム・クルーズクリストファー・マッカリー監督は、かつてのクリント・イーストウッドドン・シーゲル監督、ロバート・デ・ニーロマーティン・スコセッシ監督のようにタッグを組んで、映画史に残る素晴らしい映画をこれからも届けてくれるに違いありません。

 

 

 

 日本語吹替版のキャストが一部物議をかもしていますが、この映画の持つ面白さに比べればごく些細なことです。「映画は吹替」派の皆さんも見逃し厳禁です!

 

 

 

 

 

 

 

 

シリーズ長期計画への布石?安心して観れる「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」

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こんにちは、カズノコです。

 

トム・クルーズの「ミッション:インポッシブル」シリーズについて語っていくシリーズ、今回は第5弾!

 

ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」(2015)

 

このシリーズ、前作の「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」(2011)は、007ばりのスパイの秘密兵器が満載でちょっぴり能天気な雰囲気が、個人的にはシリーズの中で一番好きな作品でした。シリーズでも過去最高の興収記録を出しています。

 

アニメ映画出身で実写映画初監督のブラッド・バード監督もよくやった!と思ったのですが…この5作目もシリーズの慣例に従って、また新しい監督に代わっています。

 

まあ、監督それぞれの個性が出ていてこれはこれで面白いんですが、今回の作品はクリストファー・マッカリーが監督を務めています。

 

クリストファー・マッカリーは、元々は脚本家としてスタートしました。トム・クルーズと組んだ、監督としては2作目のアウトロー(2012)(ジャック・リーチャーシリーズ)で監督としての才能も花開いた感じがします。「ジャック・リーチャー」シリーズも、大変面白いシリーズですよね。

 

ついでと言っては何ですが、クリストファー・マッカリーは、あの「ユージュアル・サスぺクツ」(1995)の脚本も書いています。

 

あの凝りに凝った入り組んだ脚本を書いた人が、こんなにアクションの撮れる監督だったのかとびっくりした覚えがあります。(でも、考えてみれば、先の読めないストーリー展開といったところは共通している?)

 

クリストファー・マッカリー監督はトム・クルーズと縁があり、「ミッション:インポッシブル」シリーズ以外にも、トムが主演したワルキューレ(2008)の脚本・製作、「オ-ル・ユー・ニード・イズ・キル」(2014)の脚本、ザ・マミー/呪われた砂漠の王女(2017)の脚本も担当していて、近年のトム・クルーズ作品の多くに関わっています。この二人、よほど気が合うんでしょうね。

 

そして、次の6作目のミッション:インポッシブル フォールアウト」(2018)でも監督を続投することになり、このシリーズの「監督が毎回代わる」という慣例もついに破られることになりました。

 

今後、このことがシリーズにどんな影響を与えていくことになるんでしょうかね?

 

ただ、このシリーズのアクションについては全く変わらずと言うか、さらに見る者の予想を超えるアクションを見せてくれます!

 

イーサンは、この映画でも冒頭から軍用機の機体の外のドアにしがみついたまま上昇していくという超絶アクションをやってくれます!それもスーツ着たままで…。これクライマックスでも何でもないんですよね…なんと贅沢な…。

 

その後も、格闘あり、カー&バイクチェイスあり、お約束の「潜入アクション」(今回は水中で息が続かないというおまけつき!)あり、もうお腹いっぱいになります!

 

また、何より嬉しいのはレベッカ・ファーガソンが演じた謎の女スパイ、イルサがそのすべてにからんでくれていること!

 

クールな美人でありながら、ハートには熱いものを秘めていて、めちゃくちゃ強い!

 

例えの意味するところは異なるかも知れませんが、アルフレッド・ヒッチコック監督が後にモナコ王妃となるグレース・ケリーを称して言った雪をかぶった活火山という形容がハマると個人的には思うのですが…。

 

ヒッチコックと言えば、「ミッション:インポッシブル」恒例のヒッチコックへのオマージュ、この映画での最たるものは、ウィーンでの国立歌劇場を舞台に要人狙撃を阻止しようとする場面でしょう。

 

これは明らかに「知りすぎていた男」(1956)のクライマックス場面のオマージュですね。

 

「知りすぎていた男」では、シンバルの鳴らされる瞬間に合わせて某国の首相を狙撃するタイミングとしていましたが、「ローグ・ネイション」ではプッチーニの「トゥーランドット」が使われ、オーストリアの首相が狙われます。ここでもレベッカ・ファーガソンは、素晴らしい太股を披露しつつ(⁈)大活躍してくれます。

 

この映画であえて難を言うなら、敵の親玉を演じたショーン・ハリスでしょうか…。当初はベネディクト・カンバーバッチがこの役を演じるはずだったそうですが…もし、実現していたとしたら、シリーズ最高の敵役になっていたでしょうね…。

 

ないものねだりで、今さら嘆いてもしょうがない! …次の6作目のミッション:インポッシブル フォールアウト」へ話は続いていきます!

 

  

 

「ジャック・リーチャー」シリーズ第一弾!この映画の「カーチェイス」のカースタントもすごい!…もちろん、トム・クルーズがすべて自身で行っています。ハードボイルド・ミステリー仕立てで、凝った筋立てはクリストファー・マッカリーの本領発揮⁈

アウトロー (字幕版)

アウトロー (字幕版)

 

  

 

シリーズ一番の痛快娯楽スパイアクション‼「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」

 

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こんにちは、カズノコです。

 

トム・クルーズの「ミッション:インポッシブル」シリーズについて語っていきたいと思います。今回は第4弾!

 

ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」(2011)

 

前作「ミッション:インポッシブル3」から5年、やっとほんとに見たかった「ミッション:インポッシブル」が帰ってきた!

 

前作ミッション:インポッシブル3(M:I:Ⅲ)」では映画の後半からは、「おいおい、イーサンよ、嫁さんに見せ場さらわれてどうする…」と思うくらい、あまりに嫁さんのジュリアに話が傾斜してしまったと思うんですね…。

 

何度も言いますが、スパイに恋人や嫁さんは邪魔になるだけで、特に「スパイ大作戦」のようなチームワーク重視でミッションを遂行していくうえでは迷惑なだけ!と言いたい。

 

プロデューサーとしてのトム・クルーズも目は確かで、恒例にもなった毎回監督を変えることによって、そのへんはきちんと軌道修正しています。

 

今回監督を務めたのはアイアン・ジャイアント(1999)やMr.インクレディブル(2004)など数々のアニメ作品で知られるブラッド・バードです!

 

この「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」がブラッド・バード自身初の実写映画監督作品となったのですが、トムもよくオファーしたな、と感心しました。ホント見る目がありますよね…。

 

実写映画の監督がアニメ作品の監督をするというのは意外とあるもんですが、アニメ専門でやっていた監督が実写映画に挑戦し、それがまた大ヒットしてしまうなんてすごいですね。

 

私が一番、アニメ監督らしさを感じたのは、このシリーズおなじみの導火線を点火しテーマ曲が流れて、タイトルやキャストが流れるオープニングです。

 

この「導火線」のタイトルシーン、2作目の「M:I-2」と3作目の「M:I:Ⅲ」では、ちょっとはしょられていたんですよね…。

 

ミッション:インポッシブル」のタイトルロールは、今回のミッションで活躍するメンバーそれぞれのシーンをはさみ込まないと「ミッション:インポッシブル」のタイトルとは言えないと個人的には思うのですが、CGをうまく組み合わせた「ゴースト・プロトコル」の「導火線」はまさに完璧で、それだけでも見どころがあります!

 

また、チームのメンバーも前作までの「添え物」的な扱いではなく、メンバーそれぞれの個性や感情もきちんと描かれていて、このシリーズ本来の姿に戻しているところもいいですね!

 

ジェレミー・レナー演じるブラントは、カッコイイだけでなくちょっと謎めいていていざという時に頼りになるやつ。

 

サイモン・ペッグ演じるベンジーは、前作から昇格してますね!彼の愛すべきキャラクターは超貴重です。この後のシリーズになくてはならないメンバーになっていきます。

 

ポーラ・パットン演じるジェーンは、今のところ今回だけの出演がちょっとさびしいですが、レア・セドゥ演じる女殺し屋との一騎打ちは私怨もからんでのメチャ激しいバトルを見せてくれます!

 

そして何よりもこの「ゴースト・プロトコル」のいいところは、この映画を見た人誰もが、「ああ、あの○○のシーンがすごい映画でしょ」と言えるシーンがあることです。

 

まあ、誰もが想像がつくと思いますが、もちろんそのシーンとは、中東のドバイにある世界一の超高層ビルブルジュ・ハリファ」の壁面を、トム・クルーズが文字通り貼り付いて上り、垂直に駆け降りるシーンです。

 

私も、「ここまでやるか!」と度肝を抜かれたと同時に、「どうせCGじゃないの…」と一瞬思いもしましたが、ヘリコプターやクレーンカメラを駆使して撮影されたようです…こわ…。

 

このシーンで使われた「壁面吸着グローブ」も007ばりのギミックで楽しい!ちょっと調子が悪くて時々落ちてしまうところも最高ですね。

 

アクション、ギミック、メンバー、ストーリーとバランスよく楽しめる「ミッション:インポッシブル」シリーズ一番の傑作としてオススメです!

 

 

 

 ブラッド・バード監督の実写映画2作目。「ディズニーランド」っぽい題名に変な先入観を持って見ていない人はいないでしょうか?そんな人にこそ超おススメです!

トゥモローランド (吹替版)

トゥモローランド (吹替版)

 

 

ブラッド・バード監督の初監督作品!アニメ界のアカデミー賞と呼ばれるアニー賞で9部門を受賞した傑作です。この「シグネチャー・エディション」は幻の2シーンが追加収録されています。

ところで、「アイアン・ジャイアント」はスティーヴン・スピルバーグ監督の「レディ・プレイヤー1」(2018)の中でも大活躍していましたね。 

 

ダークサイド満開の問題作⁈「ミッション:インポッシブル3」

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こんにちは、カズノコです。

 

トム・クルーズの「ミッション:インポッシブル」シリーズについて語っていきたいと思います。今回は第3弾!

 

ミッション:インポッシブル3」(2006)

 

前作「ミッション:インポッシブル2」から6年、トムもさすがにこのままだと「ミッション:インポッシブル」を名乗っていくのはまずいと思ったのか、スパイ活動を単身からチームへ路線を回帰させます。

 

このあたりはトムの映画プロデューサーとして極めて優秀な資質が垣間見られますね…しかも今回、監督として白羽の矢が立ったのは、テレビドラマエイリアス「LOST」のクリエイターとして有名だったJ.J.エイブラムスで、なんとこのミッション:インポッシブル3(M:I:Ⅲ)」初監督作品でした!

 

J.J.エイブラムスは後に、スター・トレック(2009)、スター・トレック イントゥ・ダークネス」(2013)を続けて監督し、新たな「スター・トレック」の世界をみごとによみがえらせました。

 

驚くべきことに、J.J.エイブラムスの快進撃はこれで終わりません。

 

スペース・オペラの金字塔スター・ウォーズの新三部作の第一作スター・ウォーズ/フォースの覚醒(2015)、そして2019年12月20日に日米同時公開される最新作で完結編となるスター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」を監督するまでビッグになるとは…。

 

ここはトム・クルーズ「先見の明」に驚くべきでしょうね…。

 

個人的には、J.J.エイブラムスの映画は好きなんですが(特にスター・トレックシリーズは大好き!)、この「M:I:Ⅲ」を見たときには、正直なところやや複雑な思いもありましたね…。

 

J.J.エイブラムスは、テレビシリーズの特徴である「チームプレー」を意識して前2作よりも「スパイ大作戦」に近い形にしています。そのあたりは全く賛同できるのですが…

 

あまりにもウェットな物語の展開はどうでしょうか?

 

映画の冒頭で「10カウントするまでにお前が吐かないとこいつを撃つ」という、よくあるシーンを持ってきて「10」でホントにズドンと撃ってしまう…というシチュエーションは、「えーっ、この後どうなるんだろう?」と思っても、その後の展開を期待にワクワクしながら…と言うのとは全く違うんですよね…。

 

「悲惨な死にざま」が多く描かれたり、登場人物が拉致されたり、拷問されたり、動機付けが復讐だったり、かなりダークな一面がある「M:I:Ⅲ」ですが、

 

何よりも許せんのは、イーサン・ハントが結婚までしてしまっていること!しかも、一般人と…。結婚そのものはダークではないけど…いやダークか…⁈

 

チームメンバーのルーサー「スパイは結婚するもんじゃない」と言っているにもかかわらずです…。

 

スパイ映画の本家である「007」においてでさえも、スパイが一般人と結婚する前例がないわけではありませんが、アーノルド・シュワルツェネッガー「トゥルー・ライズ」(1994)のようにうまくいくのはレアなケースでしょう。「トゥルー・ライズ」は半分コメディですし…。

 

いずれにしても、敵に必ず狙われます!そのための設定と言われても仕方がない…。

 

「M:I:Ⅲ」の悪口ばかり書いているようですが、私がこの映画で一番好きなシーンは、イーサンたちが敵の親玉のオーウェン・ディヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマンがイヤらしさ全開!)を拉致して移送させる途中で、敵の攻撃に遭う橋上のシーンですね。

 

中でも、イーサンがミサイルの攻撃を受けて爆発した車のその爆風でフワッと身体が浮き上がり、横にある車に叩きつけられるシーンはかなりリアル。

 

そうなんですよ。「M:I:Ⅲ」のあちこちに散りばめられた「リアルさ」は、いいところもあれば悪いところもある。

 

テレビシリーズの「スパイ大作戦」の持つ、いい意味で空想の現実離れした世界との相性が、「M:I:Ⅲ」では今ひとつかみ合っていなかったような気がします…。

 

以前M:I-2はシリーズの中で最もカラーの異なる作品」と記しましたが、

「M:I:Ⅲは、M:I-2に負けず劣らずシリーズの中で最もテイストの異なる作品」と言ってしまいます!

 

 

M:i:III (字幕版)
 
M:i:III(吹替版)

M:i:III(吹替版)

 

 

メロドラマ?「ミッション:インポッシブル2」あなたはお好き?

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こんにちは、カズノコです。

 

トム・クルーズの「ミッション:インポッシブル」シリーズについて語っていきたいと思います。今回は第2弾!

 

ミッション:インポッシブル2」(2000)

 

前作「ミッション:インポッシブル」から4年、トムの変わりようにビックリした覚えがあります…短髪からロングヘアに、スーツ姿からタンクトップのマッチョになっていただけではなく、度肝を抜かれたのは映画冒頭のロック・クライミングですね…。

 

今でこそ、2020年の東京オリンピックで追加種目に採用された「スポーツクライミング」や「ボルダリング」で目にする機会こそ多くなりましたが、

 

20年前にこの映画で岸壁にへばりつくようにして上がっていくトム・クルーズを見たときには、「なんて危ねーことする奴なんだ…手が滑ったらどうすんだ…」と、ハラハラしつつも、こんなスタント、ハリウッドスターのやることか…と、なかば呆れてました。

 

ミッション:インポッシブル2(M:I-2)」の監督は、ブライアン・デ・パルマ監督から香港ノワールで一時代を築き、ハリウッドに進出したジョン・ウー監督にバトンタッチされました。

 

アクション演出に定評のあるウー監督も、このトムの無謀なフリークライミングのシーンはさすがに生きた心地がしなかったそうです…。

 

この「ミッション:インポッシブル」シリーズは2019年10月現在、全部で6作品作られていますが、M:I-2はシリーズの中で最もカラーの異なる作品と言われています。

 

 前作の「ミッション:インポッシブル」に色濃く残っていた「スパイ大作戦」の遺伝子はなくなり、チームでの活動も全くと言っていいほど目立ちません。チームのメンバーも、レギュラーの「ルーサー」は別として、ヘリコプターのパイロットくらいしかいません。シリーズのどの作品よりも地味です。格段にチャラくなった「イーサン・ハント」一人が大活躍する、別のシリーズのようです。

 

確かに全編を通じてトム・クルーズのナルシスティックなまでの「ボクって、カッコいい? そう? もっと見たい? 見たいでしょ? なら見せてあげる…」というオーラがあふれており、あくまで想像ですが、トムのあらゆる要求にウー監督は応えていったと思えます。

 

このシリーズのよいところでもあるんですけど、監督が一作ごとに代わることで、まるで別の映画のようにカラーが変わってしまうんですね。それも5作目、6作目の監督をクリストファー・マッカリー監督が続投したことで崩れてしまいましたが…。

 

ついでに言うと、ジョン・ウー監督も、クリストファー・マッカリー監督も、カーチェイスやバイク・アクションが好きな監督ですが、受ける印象はまるで違います。

 

特に、この「M:I-2」でのカーチェイスでは、イーサンの運転するポルシェと、この映画のヒロインである女泥棒ナイアの運転するアウディが、まるでダンスを踊るようにクルクル回りながらスローモーションで走るシーンがあるんですが、あまりに奇妙な絵柄に「そんなアホな…!」と絶句してしまうシーンです…。

 

でも、改めて見直すと、一つの時代を作った「ジョン・ウー・アクション」って、何か妙に懐かしいですよね。「二丁拳銃」に「白い鳩」に「スローモーション」にケレン味たっぷりのお約束のシーンはすべてあります。

 

ミッション:インポッシブル」シリーズは、アルフレッド・ヒッチコック監督へのオマージュがあちこちに散りばめられているとよく指摘されます。まず、シリーズ第1作の監督を務めたブライアン・デ・パルマ監督は、誰よりもヒッチコック監督の信奉者であることを否定する人はいないと思います。

 

では、この「M:I-2」はどうでしょう? これは物語の展開が、ヒッチコック監督作品の「汚名」(1946)そのまんまなんですね…。

 

「汚名」はヒッチコック監督作品の中でも、ちょっと知名度で落ちるかもしれませんが、ヒッチコック映画常連のケーリー・グラントと、イングリッド・バーグマンがヒロインを演じた名作です!

 

一言でいえば、「惚れた女を任務とはいえ、敵の手に委ねることができるか?」という話です。「M:I-2」のストーリーそのものでしょ?

 

「汚名」はヒッチコックの映画としては、ちょっとメロドラマの要素が強いと個人的には思うのですが、そんなところも「M:I-2」と似てますよね?

 

M:I-2」は前作を超える大ヒットとなりましたが、トム・クルーズは「ミッション:インポッシブル」シリーズの次作「M:I:Ⅲ」で、またまた軌道修正をすることになります…。

 

 

M:I-2 (字幕版)

M:I-2 (字幕版)

 
M:I-2(吹替版)

M:I-2(吹替版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

賛否両論の「ミッション:インポッシブル」を断固支持する!

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こんにちは、カズノコです。

  

 

トム・クルーズの「ミッション:インポッシブル」シリーズも6作目の「ミッション:インポッシブル フォールアウト」(2018)まで製作され、いずれも大ヒットを続けています。

 

そこで、大好きなこのシリーズについて1作目の「ミッション:インポッシブル」から語っていきたいと思います。

 

ミッション:インポッシブル」(1996)

 

シリーズ第1作ですが、もう20年以上前に作られた作品になるんですね…久しぶりに見直してみると…トム・クルーズが若い!

 

この頃のトム・クルーズ若造ですね…髪も短いし…。でも、この作品からエージェントだったポーラ・ワグナーと共同でクルーズ/ワグナー・プロダクションズを設立し、映画製作に挑戦しているんですね。ということは、作品の選定から監督まで自分で決めているということで…わずか30歳ですごい奴や!

 

この映画を観たときは二重の意味で衝撃を受けました。

 

衝撃の一つは「ミッション:インポッシブル」って「スパイ大作戦」だったこと!

 

アメリカのテレビドラマの「スパイ大作戦」…人気ありましたね!なんせ同じくテレビドラマの人気シリーズである「スタートレック」の邦題が、「宇宙大作戦」になったぐらいですから…。

 

スパイ大作戦」と言えば、あのマッチで火を点けられた導火線がパチパチ火花を出しながら燃えていくオープニング映像と、そこに流れるラロ・シフリンのむちゃくちゃカッコいいテーマ音楽!

 

この映画を映画館で観たとき、あのテーマ曲が流れて導火線パチパチしてチームのメンバーが活躍する映画のシーンがフラッシュカットされていく映像が流れたときには、「これだよね~!」と懐かしさとカッコよさで悶絶しそうになりました!

 

あと、作戦指令のテープが「おはよう、フェルプス。」から始まって、最後に「例によって、君、もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。成功を祈る。なお、このテープは自動的に消滅する。」と言った後、テープからシュワ~っと煙が出てくるカットなんて、なんか当時のテレビでやたらパロディーかネタにされていたような気がしますね。

 

スパイ大作戦」の原題が「MISSION:IMPOSSIBLE」で、映画の題名の「ミッション:インポッシブル」と同じだったとは気がつかんかった…。

 

もう一つの衝撃は、映画の物語の展開で「ジム・フェルプスが、✕✕だった」こと!

 

スパイ大作戦」の「ジム・フェルプス」と言えば、チームのメンバーを束ねる「リーダー」ですよ!

 

太陽にほえろ!」の「七曲署」で言えば「ボス」、「ウルトラセブン」の「ウルトラ警備隊」で言えば「キリヤマ隊長」ですよ!

 

やはり、この映画化にあたっての「ジム・フェルプス」の取り扱いについては賛否両論だったようで、オリジナルのテレビシリーズの関係者からは、評判悪いようですね…。当たり前と言えば当たり前ですが…。

 

ただ、トム・クルーズが演じた「イ-サン・ハント」という役柄は、映画オリジナルのキャラクターなんですが、自分のイメージでは「スパイ大作戦」での「ローラン・ハンド」なんです…。変装の名人で人気もあったし、名前の響きも似ているし…。

 

スパイ大作戦」の面白さは、ミッションの内容に応じて、それぞれ特殊技能を持ったスパイがその都度集められ、チームで遂行する面白さなんですよね。

 

が、その後の展開で、チームのメンバーが一人減り二人減り、トム・クルーズが孤軍奮闘していく姿を見ると、「トムよ、若いくせになんと計算高いんや…。この映画のプロデューサーなので何でも自分の思うままにできるとは言え、チームが最後に自分一人になって大活躍するなんて…やっぱりトムは正真正銘の大スターや!」と、感嘆してしまいました!(皮肉ではなく褒めています)

 

 

ハリウッドでもたくさんの人気テレビドラマが映画化されていますが、今もシリーズで作られているのは、先の「スター・トレック」や「ミッション:インポッシブル」くらいのものでしょう。

 

トム・クルーズは、「スパイ大作戦」を「ミッション:インポッシブル」で断ち切って、「スパイ大作戦」と決別しつつ、「スパイ大作戦」での設定を最大限に生かし、新たな「ミッション:インポッシブル」として創り上げたのです!

 

キャラクターにおいては「アッ」と驚く展開を見せつつ、ストーリーはイーサン・ハントを軸に快調に進んでいきます…。

  

イーサン・ハントは変装の名人で、

(特殊メイクのロブ・ボッティンがいい仕事しています)

急造でチームを組み、CIA本部への侵入し、

(この映画の白眉で、ブライアン・デ・パルマ監督の画作りも冴える!)

最後はパリ行きの超特急TGVの上で死闘を繰り広げます。

ジャン・レノのニヤついた顔がいいんです…)

 

映画のラスト…任務を終えたイーサンが自宅に帰るために乗った飛行機内で、しつこく映画を見るようにすすめるCA…。

 

まさに理想的な展開で、新たなイーサン・ハントの物語の始まりを告げる、素晴らしいラストで締めくくられます!

 

『こんなの「ミッション:インポッシブル(=スパイ大作戦)」じゃない!』

という人もいますが、あえて言います…

 

往年のテレビドラマ「スパイ大作戦」を最も色濃く残したシリーズの原点、それが「ミッション:インポッシブル」です!